売国 (小説)

「売国」について

真山仁による長編小説「売国」は、2013年から2014年にかけて文藝春秋の「週刊文春」で連載され、2014年10月30日に刊行されました。この作品は、社会派ジャンルに属し、特に政治の闇や権力の腐敗を鋭く描写しています。連載後、大幅な削除や加筆が行われ、作品の質が高められています。また、2016年には文春文庫版が出版され、同年テレビドラマとしても映像化されました。

あらすじ

物語の主人公は東京地方検察庁の検事、冨永真一です。彼は幼児誘拐事件の裁判員裁判で得た功績により、東京地検特捜部へ異動することになります。新しい職場での彼には、政界や官僚の不祥事を追及する特別な任務が与えられますが、その内容には驚かされることばかりです。特に、国会議員を1人逮捕せよという指示は、真一にとって大きなプレッシャーとなります。

再会の約束を交わした幼馴染、近藤左門の失踪という個人的な事件も重なり、真一の心には不安が広がります。彼は特捜部に配属されると、大物政治家の闇献金疑惑を追うことになります。関連資料の一つとして、政治家の手帳があげられますが、その手帳は脱税に関係する重要な情報が含まれているとされています。真一は、この情報の解読に挑むことになりますが、その過程で強情な性格の本郷登紀子と対峙し、さらなる困難に直面します。

登場人物

物語には多くの個性的なキャラクターが登場します。冨永真一は、同志社大学法学部を卒業し、司法試験を合格したキャリアウーマンとして描かれます。彼にとっての盟友である藤山あゆみは、同じ特捜部で働く同期であり、彼を支えます。一方、公判部の業務をサポートする五十嵐鉄夫や特捜部の部長、岩下希美など、彼の周囲には頼もしい仲間が揃っています。

また、真一の家族も物語に重要な役割を果たします。老舗の和菓子屋を営む父、真一の妻である智美などが彼の日常生活に影響を与えます。

テレビドラマ化

2016年には「巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲」というタイトルでテレビドラマ化され、玉木宏が冨永真一役を演じました。この作品は、六本木の移転を記念した特別企画として制作され、続編も放送されるなどで話題を集めました。

書誌情報

「売国」は文藝春秋から2014年に単行本として刊行され、文庫版は2016年に発行されました。構想からドラマ化まで、多くの人々の関心をひきながら展開され、内容は多岐にわたり深いものとなっています。

この作品は、政界の裏と人間関係の歪みをリアルに描いた社会派小説として、多くの読者に影響を与える力を持っています。真山仁が創り出したこのドラマは、単なるストーリーではなく、現代の社会にも通じる深いメッセージを含んでいます。

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