変態王子と笑わない猫。

変態王子と笑わない猫。

『変態王子と笑わない猫。』は、さがら総によって書かれた日本のライトノベルであり、イラストはカントクが手掛けています。この作品は2010年10月から2019年3月までMF文庫Jから刊行され、通算13巻がリリースされました。物語は、女子のことばかりを考える高校生、横寺陽人を中心に展開し、彼の周囲にいる独特なキャラクターたちとの関係を描いています。

あらすじ

物語の舞台は、高校生活における青春や煩悩をテーマにしています。陽人は、陸上部の部長から次期部長に指名されるものの、彼の真の動機は水泳部の女の子たちの水着を見ることにあり、部長職には乗る気がありません。ある日、小学校からの友人ポン太のエピソードを聞いた陽人は、町外れにある「笑わない猫」像に向かいます。ポン太はこの像に自らの「煩悩」を引き取ってもらい、解放されたと語ります。

陽人は半信半疑ながらも、願掛けをすることに決め、同じく悩みを抱えていた筒隠月子と出会います。彼らは共に像に供え物をし、願いをかけることになりますが、期待した効果とは逆に、陽人の「建前」が消失。これにより、陽人は内心の欲望がそのまま言葉となってしまいます。このことから『変態王子』の異名がつけられ、周囲から避けられるようになります。

陽人は月子との協力を通じて、失ったものを取り戻すために奮闘します。また、その過程で出会う新たなキャラクターたち、特に彼に興味を持つ小豆梓や、陽人の姉で厳格な性格の筒隠つくしとの関係も物語の中で重要な位置を占めています。陽人は彼女たちとの交流を通じて、自身の成長や関係性の変化を体験し、何が本当に大切なのかを学んでいきます。

登場人物

作品の中には多彩なキャラクターが描かれています。陽人は一見軽薄な主人公ですが、女子に対して優しい一面を持っており、彼の行動が周囲にどのような影響を与えるのかが見どころです。月子は彼との関係を深めながら、感情を抑え込んでいる複雑な内面を持ち合わせています。さらに、梓は彼とは異なるアプローチで陽人に接し、物語の中で友情と恋愛の間で揺れ動く姿勢が描かれます。

制作背景

このシリーズはそのユニークさから、多くの読者を魅了し、ライトノベル界での成功を収めました。テレビアニメ化もされ、原作の雰囲気を忠実に再現した作品が評判を呼びました。また、コミカライズもされ、原作のファン層をさらに広げています。

受賞歴

本作はその面白さだけでなく、第6回MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞を受賞するなど、評価も高く、初巻の販売はMF文庫J史上最高の初動売上を記録しました。2018年3月時点で、シリーズ累計215万部に達し、その人気は現在まで続いています。

このように『変態王子と笑わない猫。』は、青春や恋愛、友情を描いた作品であり、煩悩や建前の消失を通じて成長する高校生たちの物語は、多くの人々に共感を呼び起こしています。

もう一度検索