夏壎

夏壎（か けん）は、明代の官僚であり、字を宗成、号を介軒と称しました。宣徳元年（1426年）に台州府天台県で生まれ、成化15年9月12日（1479年9月27日）に54歳で亡くなりました。父は夏大愚、母は丁氏です。

景泰2年（1451年）に進士に及第し、翌年には監察御史に任じられました。天順初年には福建巡按を務め、江西での軍の粛正や、鎮守中官である葉達の専横を摘発するなど、不正を許さない強い姿勢を示しました。その手腕が認められ、天順6年（1462年）には広東按察使に抜擢されました。

成化初年、夏壎は朝廷に対し、瑶族や僮族の反乱が収まらない現状を憂慮し、反乱軍の規模は小さいものの、脅迫によって従う民衆が多く、鎮圧のために兵を動員し続ければ、民衆は疲弊し、軍費も底を尽きてしまうと進言しました。そして、慎重に監司や守令を選び、民衆を慰撫することが重要であると説きました。この進言は受け入れられ、その後、江西布政使に転じました。

成化8年（1472年）、夏壎は右副都御史となり、四川巡撫を兼任しました。当時、四川では苗族や僚族が反乱を起こしていましたが、夏壎はこれらの勢力をまとめて鎮圧することに成功しました。また、古州に住み着いていた苗族を追い出すという議論に対しては、彼らの生活を考慮して反対し、松潘参将が兵を増やすという請願に対しても、兵の増強は根本的な解決にならないと反対しました。また、部下の将校が法を犯した場合、時間をかけて奏請するのではなく、先に逮捕してから報告するべきだと上奏し、成化帝に許可されました。

夏壎は剛直な性格で知られ、訴えを公平に裁き、民衆に冤罪を着せることはありませんでした。四川に赴任して2年の間、民衆や少数民族からの信頼を得ていましたが、激務を嫌い、次第に職務に対する意欲を失っていきました。息子の夏鍭が詩を献上し帰郷を勧めたことをきっかけに、50歳を前に引退を決意しました。4度にわたる上書の末、ようやく致仕が許され、故郷に戻ると、門を閉ざして親孝行に励み、賓客との交流もほとんどなかったと伝えられています。

成化15年9月27日、54歳でこの世を去りました。彼の著作には、『嶺南集』、『嶺南江西行稿』、『三巴稿』、『奏議』などがあります。

夏壎は、その職務に対する責任感と民衆への深い愛情から、明代において高く評価された官僚の一人であり、その業績は後世にまで語り継がれています。

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