外国人住民基本法案

外国人住民基本法案とは



外国人住民基本法案は、日本に居住する外国人住民の権利を保障することを目的とした法案の私案です。この法案は、外国人住民に対する日本国籍の取得要件の緩和や、日本国民が有する権利の一部を外国人にも付与することを主な内容としています。1998年に全国キリスト教連絡協議会によって作成されて以降、国会に法案として提出されたことはありませんが、請願という形で継続的に議論されています。

法案の内容



この法案には、外国人住民の権利を保護するための様々な条項が含まれています。主な条項は以下の通りです。

人種差別と排斥の禁止: 国と地方自治体は、人種差別、外国人排斥、人種的・民族的憎悪に基づく差別や暴力を禁止し、抑止する義務を負うと規定しています。
滞在・居住の権利: 外国人住民は、法的に正当な理由と手続きなく滞在・居住の権利を制限または剥奪されないと規定しています。また、出国や再入国の自由も保障されています。旅券を持たない外国人には、旅行に必要な証明書を発行する権利が与えられます。
永住資格: 永住資格を持つ外国人の子孫や、日本で生まれた外国人、日本人または永住資格を持つ外国人の配偶者、5年以上継続して居住する外国人に永住資格を付与すると規定しています。
恣意的追放の禁止: 外国人住民は、法に基づいた手続きによらない追放を禁止されています。追放決定に対する再審査の機会や、裁判所への訴えの権利も保障されています。永住資格を持つ外国人住民は、いかなる理由でも追放されないと規定されています。
家族の再会と家庭の形成: 外国人住民は、日本において家族と再会し、家庭を形成・維持する権利を有すると規定しています。

請願の状況



この法案は、過去に複数の国会議員によって紹介され、衆参両院に請願が提出されています。第171回国会では、阿部知子衆議院議員の紹介による請願で、3,403名の署名が集まりました。請願を提出した主な議員は以下の通りです。

佐々木秀典(民主党衆議院議員):3回
円より子(民主党参議院議員):1回
山内徳信(社会民主党参議院議員):1回
阿部知子(社会民主党衆議院議員):4回

推進派の主張



推進派は、国際社会における難民の増加や多文化主義の進展を背景に、日本も多民族共生社会へと移行する必要があると主張しています。また、外国人登録法や出入国管理法との矛盾を解消し、外国人住民の地位と権利を包括的に保障することが不可欠であると訴えています。

反対派の主張



反対派は、この法案が日本の入国管理制度を著しく損なうと主張しています。具体的には以下の点を問題視しています。

入国管理の形骸化: 旅券を持たない外国人の入国を容認し、難民や密入国者を無制限に受け入れることになる。
外国人管理の放棄: 外国人の居住地や行動を管理できなくなり、日本政府による規制が不可能になる。
不良外国人の排除困難: 入国管理の基本である「不良外国人の水際での排除」が不可能になる。
参政権問題: 入国数年後には参政権が付与され、日本の政治に介入する道が開かれる。
起草者の背景: この法案を起草したのが、在日韓国人の集団であると指摘し、国家転覆を企む悪意のあるものだと警戒しています。
* 保守派からの批判: 外国人参政権や人権擁護法案と並び、日本人を差別する法案として反対意見が出ています。

議論の現状と今後の展望



外国人住民基本法案は、多くの議論を呼んでおり、推進派と反対派の間で意見が大きく分かれています。この法案が実際に成立するかどうかは不透明ですが、今後の議論の展開が注目されます。





もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。