外国税額控除制度

外国税額控除制度について

外国税額控除制度（がいこくぜいがくこうじょせいど）は、全世界所得課税制度を採用している国において、国際的な二重課税を解消するための仕組みです。この制度では、海外で得た所得に対して課税された税額を、自国の納税額から控除することができます。

概要

外国税額控除は、主に2つのタイプに分類されます。

1. 直接外国税額控除: 納税者が直接外国で支払った税額を控除する方式です。
2. 間接外国税額控除: 居住地国において法人が、外国子会社などから受け取る配当について、その配当が出される際に源泉地国で支払った税額を、あたかも居住国法人が納税したかのように扱い、控除する仕組みです。

間接外国税額控除は、法人が海外に進出する際に、支店や子会社といった形態で行動する場合のオペレーションの中立性を保つために設けられています。税務条約でも、この制度は一般的に認められており、国外で課税された部分の税金を控除できるようになっています。

みなし外国税控除

日本では、特に一部の途上国に対して、租税条約に基づくみなし外国税額控除（タックス・スペアリング・クレジット）が採用されています。この制度では、源泉地国で税金が軽減されている場合、その減免された税額を課税済みの税金として扱い、日本の税額から控除が行われます。これにより、全世界所得課税制度を採用する国が源泉地国に対して負担を軽減し、税収が不当に居住地国に移転することを防ぐ目的があります。

一方で、この制度には批判があり、実際にはもはや途上国に該当しない国へも適用されているケースや、第三国を利用した利益の移転の温床になる可能性が指摘されています。

分配時調整外国税相当額控除

2020年以降、海外の資産に投資を行っている公募投資信託などが受け取る収益に対して、外国で課税され、さらには国内の投資家にも所得税が課せられることで二重課税が生じるという問題が存在しました。この問題を解消するため、具体的には2020年1月1日から、証券会社が外国所得税が課税された集団投資信託の収益の分配金を支払う際に、従来の外国税額控除とは異なる形で二重課税調整計算が適用されるようになりました。この改正により、税金の二重負担を軽減することが可能となりました。

関連項目

外国税額控除制度に関連する制度や条項については、確定申告、租税条約、法人税、所得税、相続税、贈与税などがあります。これらはすべて税制全般にかかわる重要なテーマであり、税金の効率的な運用には理解が必要です。

外部リンク

• - 所得税|外国税額控除（国税庁）
• - 法人税|分配時調整外国税相当額控除（国税庁）
• - 贈与税の外国税額控除（国税庁）

このように、外国税額控除制度は国際的な税制の重要な一環として機能しており、法人や個人が公平に税負担を解消できる役割を果たしています。

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