外西寿彦

外西 寿彦

外西寿彦（ほかにし ひさひこ）は、1925年2月5日に生まれ、1993年7月21日にその生涯を終えた日本の産婦人科医であり、医学者です。周産期医療および母子救急医療の分野において、国内でも第一人者として広く認められていました。彼の活動は特に、鹿児島県におけるこの重要な分野の医療水準を引き上げ、体制を整備することに集中的に向けられました。また、医療機関の運営にも携わり、鹿児島市立病院の院長を務めました。

宮崎県に生まれた外西氏は、旧制鹿児島県立第二鹿児島中学校を経て、1951年に旧制県立鹿児島医学専門学校を卒業しました。この学校は後に旧制県立鹿児島医科大学、現在の鹿児島大学医学部へと発展しています。卒業後、1958年4月には旧制県立鹿児島医科大学から医学博士の学位を授与されました。医師としてのキャリアは、鹿児島大学産婦人科（町野碩夫教授のもと）で始まり、1958年1月から助手、1961年5月からは講師として勤務しました。1966年2月には助教授に昇任しましたが、同年7月には鹿児島市立病院からの招きに応じて大学を退職します。

翌1967年4月、鹿児島市立病院の産婦人科部長に就任した外西氏は、当時の鹿児島県が周産期死亡率に関して全国的に見ても高い水準にあった状況を改善することを強く意識しました。医療水準の向上に加え、次世代を担う医師の育成にも力を注ぎ、当時若手であった池ノ上克医師をアメリカへ派遣し、先進的な医療技術と知識を習得させるなど、人材育成にも尽力しました。

1976年、鹿児島市立病院で日本で初めてとなる五つ子が誕生した際、外西氏は産婦人科部長として、五つ子の命を救うための医療プロジェクトチームを率いました。母子が無事退院した後、五つ子の誕生が大きなニュースとなり、周産期医療の重要性に対する社会の理解が深まる機会が生まれました。外西氏はこの機を逃さず、国の省庁や地方自治体、国会議員、大学病院、医師会など、様々な関係機関や影響力を持つ人々に積極的に働きかけを行い、鹿児島県の周産期死亡率の低減に向けた具体的な取り組みを推進しました。

こうした働きかけが実を結び、1978年には鹿児島市立病院内に新生児のための専門センターが設置され、さらに全国に先駆けて周産期医療センターが開設されることとなりました。外西氏は開設された周産期医療センターの初代センター長に就任し、この分野の医療体制の中心的な役割を担いました。1985年4月からは、センター長職に加え副院長も兼務し、病院運営にも深く関わります。1990年3月、定年により一度病院を退職しましたが、1992年4月には病気で辞任した後任として、再び要請を受けて鹿児島市立病院の第5代院長（病院事業管理者としては第3代）として復帰しました。

院長として在任中の1993年3月、外西氏は食道がんの手術を受け、リハビリテーションに励んでいましたが、同年7月に急逝しました。突然の訃報に、遺族と鹿児島市立病院による合同での葬儀が県医師会館で厳かに執り行われました。外西氏の後任の院長には、副院長を務めていた武弘道氏が就任しました。

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