外部性

外部性の概念

外部性とは、ある経済主体の行為や経済活動が、他の経済主体に影響を与える現象を指します。通常、経済学では各主体の意思決定が他と独立して行われると仮定していますが、実際には他者の行動が無視できないことが多々あります。このような相互作用を理解するために「外部性」という概念が生まれました。

外部性の分類

外部性は大きく二つのカテゴリに分けられ、金銭的外部性と技術的外部性があります。前者は市場を介して影響を与えるものであり、後者は直接的なやり取りを通じて影響を及ぼします。また、それぞれは「正の外部性」と「負の外部性」にさらに細分化されることが多いです。

正の外部性（外部経済）

正の外部性は、他の経済主体に利益をもたらす場合を指します。例えば、養蜂家が果樹農家の近くにいることで、ミツバチが果樹の受粉を助け、その結果果樹農家の生産が増えることが挙げられます。このように、養蜂家は直接的な対価を受け取らなくても他者に利益を提供し得るため、その社会的な生産規模は本来の需要を満たすには不十分になります。

負の外部性（外部不経済）

反対に、負の外部性は他の経済主体に不利益をもたらす場合を指します。公害はその一例で、たとえば工場が排出する廃液が近隣の漁業者に損害を与える状況を考えてみましょう。この場合、工場は廃液処理に要するコストを考慮せずに生産を続けることが多く、その結果、社会全体として過剰生産となることがあります。

外部不経済の内部化

負の外部性を内部化することは、経済活動における効率性を取り戻すために重要です。例えば、工場が廃液を処理するための設備投資を行う場合、そのコストを考慮しないまま商品を生産すれば、過剰供給となり経済全体の効率が損なわれます。このような不経済を是正するために、政府が廃液に税金を課せば、工場はコストを消化しながら供給量を調整していく可能性があります。これが「内部化」です。

コースの定理

「コースの定理」の考え方によれば、取引コストが存在しない理想的な状況下では、企業と住民が交渉を行うことで外部不経済による過剰な生産を調整できるとされています。権利の所在によって、環境負荷を減少させるためのインセンティブが異なる点も重要です。権利が住民に存在すれば、企業は環境対策に積極的に取り組むことが促される一方で、権利が企業にあれば逆の状況が生まれることになります。

まとめ

環境問題を始めとする外部不経済の影響は、特に産業革命以降ますます顕著になってきました。外部性の理解を進めることで、経済活動の見えない側面を考慮し、持続可能な社会の実現を目指す必要があります。これには、税制を通じたコストの内部化や、企業と住民の間での適切な権利の配分が求められるでしょう。

もう一度検索