多摩田園都市

多摩田園都市の概要

多摩田園都市（たまでんえんとし）は、東京急行電鉄が指導のもとに開発された街であり、現在は東京都町田市と神奈川県の川崎市、横浜市、大和市の4つの市に広がっています。この地域は、東急田園都市線の梶が谷駅から中央林間駅までの約20kmにわたり、総面積は約5000haを誇ります。2017年時点での人口は約62万人で、都市の発展が続いています。

開発の歴史と理念

多摩田園都市の開発は、鉄道新線である東急田園都市線の建設と密接に関連しており、その結果として整った地域が形成されました。1959年に川崎市の野川地区で始まった土地区画整理事業は、2000年まで続きました。このプロジェクトにより、全体で55地区、総面積3204.3haが整備され、住宅地の形成が進みました。

この地域の開発には、イギリスの都市計画家エベネザー・ハワードの思想が大きく影響を与えています。彼の著書『明日の田園都市』では、都市と自然が共存する理想的な生活空間が描かれており、日本における田園都市の概念に基づき、多摩田園都市もその理念を受け継いでいます。

立地と交通

多摩田園都市は多摩丘陵に位置し、東急田園都市線が主要な交通の軸となっています。また、開発地域の周辺には東名高速道路が整備され、近隣の川崎ICと横浜町田ICも活用されています。地域は、神奈川県と東京都にまたがるため、多様な利便性が提供されています。

評価と受賞

多摩田園都市の開発は、高く評価され多くの受賞歴があります。1987年には日本建築学会賞を受賞し、1989年には都市緑化基金の緑の都市賞を獲得しています。2002年には日本都市計画学会石川賞も受賞し、都市計画における優れた取り組みが認められています。

開発手法と都市機能

多摩田園都市の開発には、土地区画整理事業が重要な役割を果たしています。東急は一括代行方式を採用し、必要な土地の造成を行うとともに、住宅地の整備を進めました。さらに、個別の土地区画整理事業が自律的に地域全体の開発を促進することが期待されました。

加えて、1966年には「ペアシティ計画」が策定され、都市の拠点を複数設けるとともに、必要な機能を段階的に追加していく考え方が提示されています。この計画は、多摩田園都市の開発における基本的な考え方となり、地域の成長とシームレスな都市機能の構築を目指しました。

現在の課題と展望

多摩田園都市では、初期に開発された住宅地域の高齢化が進行しています。特に駅から遠い地域では、空き家の増加や未利用地の問題が表面化しています。これに対応するため、横浜市などの沿線自治体と連携した移住計画や、住宅改装の取り組みが進められています。現在も「次世代まちづくり　WISE CITY」プロジェクトが進行中で、地域の持続的な発展を目指しています。

多摩田園都市は、都市と自然の共生を促進し、住民にとって快適な生活環境を提供することを目指した魅力ある地域であり続けています。

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