多治見市立市之倉小学校

概要

多治見市立市之倉小学校は、岐阜県多治見市の市之倉町にある公立の小学校です。この学校は、地域の中心的な学び舎として、市之倉町内の広範囲を通学区域としています。地域の子どもたちは、この学校で基礎的な教育を受け、地域社会の一員としての成長を育んでいます。

沿革

学校の歴史は大変古く、日本の近代教育制度が確立され始めた明治時代初期に始まります。その源流は、1873年（明治6年）に設立された養正学校の分校である広見分校に遡ります。この分校が、後の市之倉小学校へと発展していく第一歩となりました。

設立から間もなく、学校は独立の道を歩みます。1875年（明治8年）には養正学校から独立を果たし、「広見学校」と改称されました。これは、学校としての独立した運営体制が整えられたことを示しています。さらに1886年（明治19年）には、簡易科小学校として「市之倉簡易科小学校」が設立され、この時点で初めて校名に「市之倉」の名が冠されました。学校がより地域に根差した存在となっていった様子がうかがえます。

時代の変遷と共に学校制度も変化し、1896年（明治19年）には尋常小学校へと改編され、「市之倉尋常小学校」となりました。これは、当時の義務教育の標準的な学校形態への移行を示すものです。この時期、地域の行政区画にも動きがありました。1889年（明治22年）に多治見町が発足しましたが、1896年（明治29年）2月には多治見町から市之倉村が分離・独立して成立しています。学校は、村の成立という重要な時期を迎え、その教育の中心として役割を担いました。

教育内容の拡充に伴い、1906年（明治39年）には尋常科の上に高等科が設置され、「市之倉尋常高等小学校」と改称されました。これにより、村内でより進んだ教育を受ける機会が提供されるようになりました。学校施設の整備も進み、1907年（明治40年）には新しい木造平屋建ての校舎が建設され、学校が移転しました。その後も児童数の増加に対応するため、校舎の増築が計画・実行されました。1921年（大正10年）には木造平屋建ての第二校舎が、1930年（昭和5年）には同じく木造平屋建ての第三校舎がそれぞれ増築され、教育環境の改善が図られました。

太平洋戦争下の1941年（昭和16年）4月1日には、国民学校令に基づき「市之倉国民学校」と改称されました。戦時下の困難な状況下でも、子どもたちの教育は継続されました。

終戦後の教育改革は、学校の姿を再び大きく変えました。1947年（昭和22年）4月1日には新学制が施行され、「市之倉村立市之倉小学校」として新たなスタートを切りました。この改革では、小学校と共に新制中学校が設置されることになり、学校施設の再編が行われました。1907年に建設された本校舎は、平屋建てから二階建てに大規模な改修が行われ、小学校の校舎として引き続き使用されました。一方、増築されていた第二校舎と第三校舎は、新設された市之倉中学校の校舎として転用されることになりました。

行政区画のさらなる変遷として、1951年（昭和26年）3月5日には市之倉村が多治見市に編入合併されました。これに伴い、学校の名称も「多治見市立市之倉小学校」と変更され、現在に至る名称となりました。

合併後も、学校施設の老朽化や教育環境の向上を目指し、校舎の更新が続けられました。1954年（昭和29年）には一度新築移転が行われましたが、さらに時を経て、より現代的な教育ニーズに対応するため、1985年（昭和60年）には現在の所在地に新たな校舎が建設され、再び新築移転を果たしました。この校舎で、今日まで市之倉地域の教育が続けられています。

このように、多治見市立市之倉小学校は、明治初期に産声を上げて以来、行政区画の変更、学校制度の改革、そして施設の移転や改築など、数多くの変遷を経験してきました。これらの歩みは、地域社会の発展と密接に結びついており、学校が常に地域の中心として存在し続けてきた歴史を物語っています。

通学区域と卒業後の進路

多治見市立市之倉小学校が定める主な通学区域は、多治見市市之倉町の1丁目から13丁目の範囲です。この地域に居住する児童は、本校に通学することとなります。

小学校での学びを終えた児童たちの多くは、多治見市内の公立中学校へ進学します。多治見市立市之倉小学校の卒業生は、通学区域に基づき、多治見市立南ヶ丘中学校へ進学することになります。これは、多治見市内における小学校と中学校の連携体制によるものです。

まとめ

多治見市立市之倉小学校は、明治時代から続く長い歴史を持ち、地域の行政区画の変遷や教育制度の改革に対応しながら発展してきました。度重なる名称変更や校舎の移転・改築を経て、常に市之倉町の教育拠点としての役割を果たしています。現在も、地域社会に根差し、子どもたちの健やかな成長を支える大切な学び舎として活動を続けています。

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