多聞寺 (東久留米市)

多聞寺について

多聞寺は東京都東久留米市本町に位置する真言宗智山派の寺院で、その歴史は深く、石神井公園の三宝寺の末寺として伝わります。その設立は貞和5年にさかのぼり、当時の本尊は木製の不動明王像でした。境内には古い樹木が生い茂り、静けさと荘厳さが漂います。

歴史

新編武蔵風土記稿によると、本堂の左側には毘沙門堂があり、それらの建物は通常南向きに配置されています。現在の本堂は1975年に弘法大師の生誕1200年を記念して建設されたもので、鉄筋コンクリート製であり、その前には多くの歴史が刻まれています。本堂は康元元年（1256年）に創立されたとされ、1945年には大火を免れた後の再建が行われ、1975年には新たに建て替えられました。

境内の構成

境内の中心には本堂があり、南に山門があります。その周辺には左手に薬師堂、右手には庫裡が配置されています。薬師堂の中には、薬師如来や木造の地蔵菩薩、弁財天が安置されており、もともと毘沙門堂であった名残があります。また、薬師堂前にある六地蔵尊には、さまざまな尊名が刻まれ、地域の人々に親しまれています。

山門について

本寺の山門は天保年間に造られたもので、伝説によれば、村内の欅を利用して作られたとされています。この門は、嘉永5年に再建され、東久留米市の指定文化財に認定されています。当時の古い門は田無の観音寺に譲渡されましたが、現存していないそうです。

文化財と地域の伝統

多聞寺には、三代住職逆修供養板碑という貴重な文化財が存在します。これは室町時代に作られたもので、開発亮慶、第二住職亮真、第三住職賢栄に関連する逆修板碑であり、それぞれ生前に仏事を行い、死後の冥福を願って鋳造されたものです。いずれも高さや幅が異なり、1981年には東久留米市の有形文化財に指定されました。

また、江戸時代初期から続く南沢獅子舞も多聞寺の重要な文化であり、毎年9月には地域の祭りで盛大に披露されます。この舞は五穀豊穣と悪疫退散を祈る意味が込められています。練習の場は多聞寺で行われ、地域の伝統芸能が受け継がれています。

年中行事とアクセス

特に、10月15日に行われる南沢獅子舞は多聞寺の重要なイベントで、地元住民をはじめ多くの人々が訪れます。交通アクセスは西武池袋線の東久留米駅から1.0kmという便利な立地で、多くの参拝者が利用しています。

多聞寺は、歴史的な価値を持つだけでなく、地域の伝統文化が色濃く残る場所として、訪れる人々に深い感動を与えています。

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