多賀章仁

多賀 章仁

多賀 章仁（たが あきと）は、1959年8月18日に滋賀県彦根市で生まれた、日本の高校野球指導者です。近江高等学校において、社会科教諭や副校長を務める傍ら、硬式野球部の監督としてチームを指揮し、その後は総監督として引き続き指導にあたっています。

野球との関わりは、小学校2年生の時に「三角ベース」で遊んだのが始まりでした。地元の彦根市立南中学校では、軟式野球部で遊撃手としてプレーしました。高校は京都府の野球強豪校である平安高校（現在の龍谷大学付属平安高等学校）に進学。ここでは一塁手や捕手として活躍しましたが、在学中はチームが低迷期にあり、監督が三度交代するなど苦しい時期を過ごし、全国大会への出場は叶いませんでした。この高校時代の1学年後輩には、後に龍谷大平安高校の監督として甲子園で活躍する原田英彦氏がいました。

高校卒業後、龍谷大学に進学し、大学でも野球を続けました。大学4年次には、将来指導者として野球に携わることを強く意識するようになります。大学を卒業した1982年からは、教員免許の取得を目指して聴講生として大学に籍を置きつつ、同時に龍谷大学野球部のコーチを務め、指導者としての第一歩を踏み出しました。

翌1983年、多賀氏は社会科教諭として近江高校に赴任しました。赴任と同時に野球部のコーチにも就任し、指導者としてのキャリアを本格的にスタートさせます。野球部部長を経て、1989年には近江高校硬式野球部の監督に就任しました。監督として指揮を執り始めて3年後の1992年夏、チームを甲子園大会へ初の出場へと導きました。その後もチームを強化し続け、特に2001年夏と2022年春には、滋賀県勢としては過去最高となる甲子園大会準優勝という輝かしい成績を収めました。

多賀氏は野球部の指導だけでなく、学校運営にも深く関わりました。2002年からは近江高校の副校長を兼任し、教育者としての視点も持ちながら、野球部の指導にあたりました。教育者と指導者という二つの立場で、多角的に生徒たちの育成に尽力しました。

長年にわたり近江高校野球部の監督としてチームを牽引してきましたが、2025年3月31日をもって、定年により監督の座を退くこととなりました。しかし、翌4月1日からは野球部の総監督に就任し、引き続きチームに残り、後進の指導や育成に力を注ぐことになっています。

多賀氏が近江高校を率いた期間における甲子園大会での成績は以下の通りです。

春のセンバツ高校野球：出場6回、9勝6敗
夏の全国高校野球選手権大会：出場16回、19勝16敗
* 通算：出場22回、28勝22敗

春夏合わせて22回出場、通算28勝を挙げ、滋賀県の高校野球における近江高校の地位を確固たるものにしました。

また、多賀氏の指導のもと、多くの優れた野球選手が育ちました。その中には、プロ野球や社会人で活躍する選手も多数います。著名な教え子としては、村西辰彦、島脇信也、竹内和也、木谷寿巳、伊奈龍哉、小熊凌祐、植田海、京山将弥、土田龍空、北村恵吾、林優樹、山田陽翔などが挙げられます。これらの選手たちは、多賀氏の指導を受けて野球の技術だけでなく、人間性も磨き、それぞれの舞台で活躍しています。

多賀章仁氏は、滋賀県の高校野球界において、近江高校を全国レベルの強豪校へと育て上げた功労者であり、その教育と指導に対する情熱は、多くの球児たちに影響を与え続けています。監督から総監督という立場に変わっても、その経験と知識は今後もチームにとって大きな財産となるでしょう。

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