多重人格 multipheno

多重人格 multipheno（たじゅうじんかく マルチフェノ）

緒方恵美の3枚目のアルバム『多重人格 multipheno』は、1996年10月28日にポリグラムからリリースされました。このアルバムは、緒方にとってポリグラム移籍後、初めてのオリジナルアルバムとなります。彼女の独特の音楽性とリリックが多彩に表現されています。

このアルバムの特徴の一つは、ほとんどの楽曲の作詞を緒方自身が手掛けている点です。中には彼女が作詞・作曲を担当した曲もあり、創作への熱意が込められています。アルバムには、ただ歌を歌うだけでなく、彼女の想いやメッセージが色濃く反映されています。

収録曲の中でも注目すべきは、7曲目に位置する「lost paradise」です。この曲は、緒方が声優として参加していたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマを務めた高橋洋子とのデュエットで構成されています。二人の声が重なり合い、楽曲に深みと感情を与えています。

さらに、11曲目には「RUN」という曲も収められています。この楽曲は、緒方が出演した別のアニメ『魔法騎士レイアース』のキャラクターソングであり、ボーナストラックとして収録されています。アニメのファンにとっても、彼女の声を通じて当時の思い出が蘇る作品となっていることでしょう。

一方で、このアルバムに収録されていない楽曲もあります。シングルとしてリリースされた「風の墓標」や、「傷つかない愛はいらない」のカップリングとして提供された「Drive on the Milkyway」、さらには安全地帯の名曲「ワインレッドの心」のカバーなどが該当します。これらの楽曲が収録されなかった理由については明言されていませんが、アルバム全体の統一感を考慮した結果なのかもしれません。

「多重人格 multipheno」は、緒方の音楽活動における重要な一歩であり、彼女の個性が色濃く反映された作品です。彼女のファンにとっては心待ちにされていたアルバムであり、より多くの人に彼女の音楽に触れてもらうための一つの試みともいえます。多様なジャンルの楽曲が並ぶ中で、どのトラックも聴く人に感動や興奮をもたらすでしょう。総じて、『多重人格 multipheno』は、緒方恵美の音楽キャリアにおける重要なマイルストーンとなったアルバムであることは間違いありません。

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