夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

概要

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は汐見夏衛による青春小説であり、2017年に小説投稿サイト「野いちご」で掲載された際には、ケータイ小説として瞬く間に人気を博しました。この作品は、第1回野いちご大賞を受賞し、同年6月に初の単行本として刊行。2020年には文庫版としても登場し、累計30万部を超える発行部数を記録。この作品は、特に10代の女子から高い支持を受け、文芸小説部門で選ばれるほどの評価を得ています。2023年9月1日には映画化もされ、多くのファンを魅了しています。

あらすじ

高校2年生の丹羽茜は、かつての辛い体験から、周囲の期待に応えるために完璧な優等生を演じています。そんな彼女の前に現れたのが、自由で奔放な男子生徒・深川青磁です。初めて同じクラスになった茜は、青磁から「大嫌い」と直球の言葉を浴びせられ、ショックを受けますが、その一言を受け流そうとします。

風邪を引いた茜はマスクをつけて外に出ることとなり、その後も心を隠すためにマスクを外せなくなってしまいます。忙しい夏休みの中で文化祭の準備が始まると、茜はクラスメイトに指示を仰がれ、次第に負担が膨らんでいくのを感じます。家庭でも母や妹、さらには義父に対しても期待に応えようと努力し続けていますが、精神的に疲れ果てていく茜。

そんな中、文化祭の準備が進まない状況を見て青磁が立ち上がります。「自分で考えて行動できない奴には、俺が指示してやる」と、青磁が率先してクラスメイトをまとめていく姿には驚きながらも、茜は彼のエネルギーに惹かれていきます。

人物紹介

• - 丹羽茜：優等生を演じる高校2年生。内心では辛い思いを抱えながらも、青磁との交流を通じて本来の自分を見つけていく。
• - 深川青磁：周囲の注目を集める男子生徒。自由な発想で絵を描くのが好きで、茜には最初から厳しい態度を取るが、彼女との関係が進展するにつれ、次第に理解を深めていく。

文化祭が終わり、成功に喜ぶクラスメイトの中で、茜は一人、青磁の描いた絵に心を奪われ、涙を流します。その絵から受け取った希望の光は、茜に新たな感情を芽生えさせ、青磁との関係を一層深めるきっかけになります。そして青磁は、茜に「偽りの自分を抱え込むことは、いつか壊れる」と警告し、彼女に思いを吐き出すことを促します。

物語は、茜が青磁との互いの心を理解し合い、自身の本当の姿を取り戻す過程を丁寧に描写しています。二人の出会いは、茜にとっての成長を促す重要な局面となり、彼女の心の変化を感じながら、読者も一緒に共鳴していくことでしょう。

書誌情報

• - 著者：汐見夏衛
• - イラスト：ナナカワ
• - 初版：2017年6月25日（スターツ出版）
• - 映画化：2023年9月1日公開。監督は酒井麻衣により、主演には白岩瑠姫と久間田琳加が起用されています。

本作品は、青少年の心の成長や人間関係の複雑さを反映したストーリーとして、特に共感を呼ぶ部分が多く、青春小説としての評価が高いのです。

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