夜はクネクネ

夜はクネクネ

『夜はクネクネ』は、1983年から1986年まで毎日放送（MBSテレビ）で放送された伝説的な紀行バラエティ番組です。原田伸郎と角淳一（当時はMBSアナウンサー）の二人が出演し、関西の街を舞台に繰り広げる、まさに「街ブラ」の先駆けとも言える番組でした。その斬新なスタイルは、後の『鶴瓶の家族に乾杯』などにも影響を与えています。

番組は、原田と角が街中で出会う人々との何気ない会話を中心に展開されます。道行く人に声をかけ、世間話からプライベートな話まで、飾らないやり取りが魅力でした。シンプルな構成ながら4年間も続いたのは、二人の熟練された話術に加え、関西人ならではのユーモアとサービス精神が視聴者の心を掴んだからに他なりません。

番組には、元プロボクサーの北村雅英（後のトミーズ雅）がボディーガードとして同行していました。探検隊風の衣装で二人の後ろをついて歩く姿は、番組の名物とも言えました。

画期的な撮影技法と番組制作への影響

『夜はクネクネ』は、番組制作の面でも革新的な試みを行いました。カメラマンが後ろ向きに歩きながら出演者を正面から撮影する「ドリーバック」という技法は、当時としては非常に斬新で、他の番組にも大きな影響を与えました。この技法は、プロデューサーの大北禎昭の功績が大きいとされています。

また、この番組は、在阪テレビ局が深夜番組の制作に力を入れるきっかけにもなりました。

タイトルと番組コンセプト

番組タイトルは、構成作家のかわら長介によって名付けられました。かわらは、この番組を「やって良かった番組」の一つとして挙げており、テレビ番組作りについて多くを学んだと語っています。

当時のディレクターのメモによると、番組は「スタジオを飛び出して撮る『出会いと音楽の番組』」というコンセプトで制作され、「原田が『出会いの責任』・角が『別れの責任』を背負う」という役割分担がされていたそうです。

放送時間と最終回

番組は当初、金曜深夜に放送されていましたが、1986年4月から火曜深夜に移動しました。しかし、火曜深夜への移動から9ヶ月後の1986年12月23日に、惜しまれつつ終了しました。

最終回では、淀屋橋からロケを開始し、クリスマスの雰囲気に包まれた大阪の街で、多くの人々と触れ合いました。番組スタッフから原田たちへのサプライズとして、ヒルトン大阪の壁面に「サヨウナラ　夜はクネクネ　角　伸郎　雅　ありがとう」というメッセージがレーザー光線で投影されるという感動的な演出もありました。

その後

『夜はクネクネ』の終了後も、毎日放送は火曜深夜に、同様のスタイルのオールロケ番組を放送し続けました。

2022年からは、毎日放送のアーカイブ番組を再放送する『発掘!アーカイブ調査隊』で、当番組が取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。

『夜はクネクネ』は、単なるバラエティ番組としてだけでなく、テレビ史における重要なターニングポイントとして、今もなお語り継がれています。

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