夜よ泣かないで

松山千春の楽曲「夜よ泣かないで」（よるよなかないで）は、彼にとって通算12枚目にあたるシングルとして、1982年4月21日にリリースされました。このシングルは、当時の松山千春の音楽活動における一つの重要な節目を示す作品となりました。

この楽曲の音楽的な特徴として挙げられるのは、そのボサノヴァ調のリズムとメロディーです。当時の日本のポップスシーンにおいて、ボサノヴァのリズムを取り入れた楽曲は少なくありませんでしたが、「夜よ泣かないで」はその中でも特に印象的な一曲として位置づけられます。この洗練されたサウンドの編曲は、当時松山千春のバック・バンドでギタリストとして活躍していた幾見雅博が担当しました。ライブ活動を共にするバンドメンバーが編曲を手掛けることで、楽曲には演奏者ならではの視点やライブ感が生かされていると言えるでしょう。幾見雅博によるアレンジは、ボサノヴァ特有の軽やかでありながら情感豊かな雰囲気を見事に表現しています。

商業的な成功も特筆すべき点です。「夜よ泣かないで」はリリース後、日本の音楽チャートであるオリコンチャートにおいて、最高順位4位まで上昇しました。これは当時の競争の激しい音楽市場において、楽曲が高い人気を獲得したことを示しています。さらに、セールス面でも20万枚を超える売上を記録しました。この「20万枚を超えるセールス」という数字は、当時の日本のレコード業界において、一つのヒットの基準とされることも多く、松山千春のアーティストとしての影響力と人気の高さを改めて証明するものとなりました。多くのリスナーに受け入れられ、広範な支持を得たことが、この販売枚数に繋がっています。

シングルには「夜よ泣かないで」を含む複数曲が収録されていますが、特に表題曲であるこの楽曲は、リリースされた1982年の音楽シーンにおいて、松山千春の代表的な楽曲の一つとして語られる存在となりました。また、「起承転結 III」や「風景」といった同時代のアルバム作品と合わせて、この時期の松山千春の音楽性を考える上でも重要な楽曲です。

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