夜尿症

夜尿症について

夜尿症とは、一般的に5歳から6歳を過ぎても、睡眠中に無意識に排尿してしまう状態を指します。これは、かつては「おねしょ」と呼ばれていたものですが、医学的には夜間遺尿または遺尿症として認識されています。

夜尿症の原因

夜尿症は、身体の発達やホルモン分泌が密接に関連しており、成長とともに自然に治るケースが多いです。しかし、以下のような要因も関与していると考えられています。

夜間多尿: 就寝中に作られる尿量が多すぎる。
排尿筋過活動: 膀胱が過敏に収縮する。
睡眠覚醒障害: 尿意を感じても目が覚めにくい。
膀胱の機能未熟: 膀胱の容量が小さい、または十分に尿を溜めることができない。

これらの要因が単独または複合的に作用することで、夜尿症が引き起こされると考えられています。

夜尿症の種類

夜尿症には、以下の種類があります。

単一症候性夜尿: 夜尿のみが見られる。
非単一症候性夜尿: 夜尿に加えて、昼間の尿失禁なども見られる。
一次性夜尿: 生まれてからずっと夜尿が続いている。
二次性夜尿: 一時期夜尿がなかったものの、再び夜尿が始まった。

夜尿症の疫学

夜尿症は、年齢とともに減少する傾向にあります。

6歳で約10％
8歳で約8％
10歳で約5％
16歳で約2％

が夜尿症に悩まされていると言われています。また、幼少期は男児に多いものの、思春期以降は女児に多くなる傾向があります。

夜尿症の治療

夜尿症の治療は、生活指導から始まり、必要に応じて薬物療法やアラーム療法が行われます。

生活指導

親の心構え: 子供を責めず、一緒に治すという姿勢を持つ。
水分摂取の調整: 寝る前に水分を取りすぎないようにする。
膀胱訓練: 日中に尿を我慢する練習をする。

薬物療法

抗利尿ホルモン薬: 尿の量を減らす。
抗コリン薬: 膀胱の収縮を抑える。
三環系抗うつ薬: 症状によっては使用する。

アラーム療法

夜尿アラーム: 夜尿を感知してアラームを鳴らすことで、排尿時に覚醒を促す。

その他の注意点

治療抵抗性の場合は、先天性の腎尿路疾患や神経因性膀胱、内分泌疾患などの可能性も考慮する必要がある。
以前は、夜中に起こしてトイレに行かせることは避けるべきとされていましたが、近年では、睡眠を妨げない範囲で起こすことも有効だと考えられています。
ICCS（国際小児禁制学会）では、抗利尿ホルモン製剤と夜尿アラームが最も推奨されています。

家族のサポート

夜尿症は、子供自身にとって非常に辛い経験です。そのため、家族は以下の点を心がけ、子供をサポートする必要があります。

叱らず、責めない。
焦らず、根気強く治療を続ける。
子供の気持ちを理解し、励ます。
家族全体で協力し、治療に取り組む。

まとめ

夜尿症は、適切な治療と家族のサポートによって改善する可能性の高い疾患です。もしお子様が夜尿症でお悩みであれば、小児科医などに相談することをおすすめします。

関連項目

発達障害
おむつ
精神科医
小児科医
臨床心理士
養護教諭
* スクールカウンセラー

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