夜空 (五木ひろしの曲)

歌の背景と影響

『夜空』は1973年に五木ひろしによってリリースされたシングルであり、その美しいメロディと心に響く歌詞で多くのファンを魅了しました。この楽曲は、「あなたの灯」のリリースから4作目となるオリコンでのトップ10入りを果たし、五木のキャリアにおいて重要な位置を占めています。

受賞と披露の複雑さ

この曲は同年12月に日本レコード大賞を獲得するなど、商業的成功を収めましたが、奇妙なことに同じ年の日本歌謡大賞や第24回NHK紅白歌合戦では披露されることはありませんでした。この背景には日本歌謡大賞での他のアーティストの成功があり、レコード会社は急遽「夜空」を紅白での勝負曲に変更したと言われています。実際、日本レコード大賞受賞曲が歌われなかったのはこの時が初めてであり、一部のファンの間では議論を呼ぶこととなりました。

復活と追悼の舞台

しかし、『夜空』はその後の多くの場面で注目を浴びることになります。五木のデビュー35周年を記念して、1999年の第50回NHK紅白歌合戦で初めて披露されました。また、2017年には平尾昌晃への追悼として、同じく紅白で18年ぶりに歌唱されることとなりました。このように、忘れられない瞬間を飾る曲としての地位を確立しています。

累計出荷とダンススタイル

『夜空』は、1986年の時点で累計出荷枚数が81.0万枚を記録し、五木のシングルとして歴代5位にランクインしました。またこの時期、ハンドマイクの普及も影響し、五木のパフォーマンススタイルには「ボクシングの構えを模した振り付け」が取り入れられるようになりました。特に、華やかさと力強さを兼ね備えたこの振り付けは視覚的にも訴えるものがあります。

海外での影響

『夜空』は日本国内だけでなく、台湾をはじめとするアジア諸国でもヒットしました。しかし台湾では作曲者が平尾昌晃とされず、「日本国」と表記されている点が興味深いです。この曲は他にも、2008年に米国出身の演歌歌手ジェロがカバーしたアルバム『COVERS』や、マレーシアやシンガポールでも客家語や中国語でのカバーが行われるなど、幅広い影響を与えています。

収録楽曲とカバー

『夜空』には、作詞を山口洋子、作曲を平尾昌晃、編曲を竜崎孝路が手掛けた2曲が収録されています。主な楽曲は『夜空』で3分1秒、もう一つは『テール・ランプ』で3分37秒です。発売当初の価格は500円で、多くのファンに愛されています。最近では2023年に角川博やおかゆによってカバーされ、今も新しい世代に親しまれています。

『夜空』は音楽史においてその名を刻む名曲で、五木ひろし自身の音楽的キャリアを象徴する存在となりました。

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