夢一夜

「夢一夜」についての詳細

「夢一夜」（ゆめひとよ）は、南こうせつが1978年10月に発表した4枚目のシングルであり、その後の音楽シーンにおいても重要な位置を占める楽曲として知られています。この曲は、かぐや姫の解散から3年が経過した時期にリリースされました。南こうせつは当時、シングルヒットをあまり出しておらず、音楽業界には新たな商機を求める声が高まっていました。

この状況の中、クラウンレコードのディレクターである田中迪は、次のシングルのアイデアを模索していました。彼はヒットの起爆剤として、タイアップを利用することを考え、資生堂の秋のキャンペーンテーマに目を付けました。こうせつは音楽を作る際、よく歌詞からインスピレーションを受けるタイプのアーティストですが、以前のコラボレーターである喜多条忠は、当時作詞が思うように進まず苦境に立たされていました。そのため、田中は新たに人気の高かった阿木燿子を作詞家として起用することに決めました。

「夢一夜」の楽曲自体は、ベートーヴェンのピアノソナタ第17番『テンペスト』からインスピレーションを得て制作されました。ある日、こうせつの妻である育代さんが『テンペスト』の第3楽章をピアノで演奏しているのを聴いたこうせつは、そのメロディに感動し、「この素晴らしい曲を歌にしたい」と思うようになったといいます。その後、田中との鹿児島行きの列車の中で、こうせつは『テンペスト』のメロディを歌わせてほしいとお願いしたとのエピソードが伝わっています。

この楽曲は資生堂の「78年冬のキャンペーンソング」として起用され、CMでは女優の小林麻美がモデルを務め、広く親しまれました。さらに同年11月には、アルバム『こんな静かな夜』に収録されたことでも知られています。また、異なるアレンジの「夢一夜」のCMバージョンも存在しており、これはベストアルバム『夢一夜～ONアソシエイツ CM WORKS プロデューサーズ・チョイス II』に収められています。

収録曲

• - A面: 夢一夜

作詞: 阿木燿子
編曲: 石川鷹彦

• - B面: 君といっしょなら

作詞: 岡本おさみ
編曲: 水谷公生

楽曲の収録アルバム

「夢一夜」の魅力はその後も続き、多くのアーティストにカバーされています。特に以下の歌手によるカバーは注目に値します:

• - 石川さゆり（1979年） - アルバム『春一輪』に収録。
• - 柏原芳恵（2007年） - カバーアルバム『encore』に収録。
• - 浅田あつこ（2009年） - シングル『鯨の浜唄』のカップリングとして収録。
• - 坂本冬美（2014年） - カバーアルバム『Love Songs V 〜心もよう〜』に収録。

このように「夢一夜」は、リリースから数十年を経た今でも多くの人々に愛され、さらなる音楽文化に影響を与え続けています。南こうせつのスタイルと感受性が詰まったこの楽曲は、聴く人に深い感動を与えるものとなっています。

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