夢十話 (薬師丸ひろ子のアルバム)

アルバム『夢十話』の概要

『夢十話』は、1985年8月8日に薬師丸ひろ子の2枚目となるスタジオ・アルバムとしてリリースされました。このアルバムはEASTWORLD / 東芝EMIから発売され、LP、カセット、CDそれぞれ異なる商品コードを持っています。特に、原則として漢字3文字で表現されるアルバムタイトルの一環として、彼女のファースト・アルバム『古今集』に続く重要な作品です。

アルバムに収録されたのは全10曲で、各曲は夢の物語に寄り添う形で命名されており、夢一話「天に星. 地に花.」から夢十話「バンブー・ボート」まで、聴く人々に夢の世界へと誘います。このような構成から、アルバム全体が物語のある流れを持つコンセプト・アルバムとなっています。

薬師丸は、このアルバムの制作を行った当時、映画『Wの悲劇』の撮影を終えたばかりで、自身の女優としてのキャリアを一時的に終える決意を固めた矢先でした。しかし、彼女は東芝EMIのディレクターである鈴木孝夫との約束を守るため、本アルバムの制作にボランティアとして積極的に関わりました。

作詞陣と曲作り

『夢十話』の制作には、著名な作詞家が多く参加しています。松本隆、阿久悠、売野雅勇、竹内まりや、吉田美奈子など、各々が曲ごとに歌詞を提供しました。ただし、竹内や吉田は作詞のみを手掛け、作曲は別のアーティストが担当するという形のコンセプトが採用されました。

アルバムの評価と販売成績

このアルバムは、オリコンチャートにおいて週間最高2位を記録し、LP・カセットの登場週数はそれぞれ15週、16週となり、累計セールスはLPが約19.5万枚、カセットが約10.7万本、両者を合わせると約30.2万枚に達するという人気を誇りました。これにより、『夢十話』は薬師丸ひろ子の代表作の一つとして大きな存在感を残すことになります。

リリースの再販

後の年代においても、『夢十話』は再び注目を集め、1997年11月19日と2008年8月27日には紙ジャケット仕様として再発売されました。また、2014年2月5日にはユニバーサルミュージックから高音質SHM-CD仕様で再リリースされ、音楽ファンの間で評価を受け続けています。これらの再販により、新しい世代のリスナーにも親しまれることとなりました。

収録曲とその特徴

アルバムに収録された曲は、夢をテーマにした多様なストーリーと情感に乗せられており、これにより聴く者の心に深い印象を与えます。特に「天に星. 地に花.」と「バンブー・ボート」は、後のベスト・アルバム『歌物語』にも選定されるほどの人気を集めています。

総括

『夢十話』は薬師丸ひろ子にとって、女優としての活動と音楽キャリアの交錯した時期に生まれたアルバムであり、多くの人々の記憶に残る名盤となりました。音楽的な要素に富み、聴きごたえのある内容から、今後も長く愛され続けることでしょう。

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