大久保博 (政治家)

大久保博氏は、日本の政治家、実業家です。1949年10月11日に千葉県市川市で生まれ、2025年1月11日に75歳で亡くなりました。特に、生まれ育った市川市の市長を2期にわたり務めたことで知られています。

生い立ちと実業家としての道

市川市で幼少期から青年期を過ごした大久保氏は、市内の小中学校を経て千葉県立国府台高校を卒業しました。その後、東京電機大学工学部に進学しましたが、学業の途中で大学を離れ、生家が経営する川上産業株式会社に入社。1983年には同社の代表取締役に就任し、事業を率いました。さらに、1989年8月にはいちかわケーブルネットワーク株式会社（現在のJ:COM 市川）を立ち上げ、この分野でも代表を務めるなど、実業家として多角的な手腕を発揮しました。

市川市長として

初当選と1期目

2009年、当時の千葉光行市長が引退を表明したことを受け、大久保氏は政界への転身を決意し、市川市長選挙に無所属で立候補しました。この選挙では、民主党の市川市内における支援態勢が一本化されず、党関係者の間で支援が分かれる複雑な構図となりました。具体的には、民主党の第5区総支部が彼を支持する一方、第6区総支部は別の候補者である高橋亮平氏を支援。高橋氏にはみんなの党や市民ネットワーク市川も加わりました。また、民主党所属の千葉県議会議員である小泉文人氏も立候補し、自由民主党の支援を受けるなど、民主党系と目される3名の新人候補による激しい三つ巴の選挙戦が繰り広げられました。その中で、子育て世代への支援などを公約に掲げた大久保氏が、わずかな差で小泉氏、高橋氏を抑え、見事初当選を果たしました。この時の投票率は29.96%でした。

市長に就任後、大久保市政は前市政から引き継いだ大型公共事業の推進を優先しました。任期中には、自ら選挙公約の達成度が十分ではなかったことを認める発言もしています。

再選と2期目

2013年6月17日、大久保氏は2期目を目指して再選への出馬を表明しました。同年11月24日に実施された市長選挙では、自由民主党、民主党、日本維新の会、公明党、生活の党、社会民主党という主要6党からの広範な推薦を受け、日本共産党が推薦する候補者を破り、再選を果たしました。この選挙の投票率は21.71%でした。

2期での引退と後任人事

大久保氏は、当初は3期目への意欲を示していましたが、最終的に2期をもって市長職を退くことを決断しました。2017年11月に行われた後継の市長選挙には出馬しませんでした。この選挙は、過去の対立候補であった村越祐民氏や高橋亮平氏を含む新人5名によって争われましたが、全ての候補者が法定得票数を満たせず、異例の再選挙が実施されることとなりました。大久保氏は2017年12月24日に任期を満了し、退任しました。後任市長が不在となる事態に対し、退任に先立ち、職務代理者を務める佐藤尚美副市長に加え、市の危機管理監だった笠原智氏をもう一人の副市長として任命するなど、長期的な市長不在の可能性に備えた人事を行いました。結局、再選挙は翌2018年4月22日に行われ、村越氏が当選し、市長不在の状態は解消されました。

晩年と死去

市長退任後の活動については特に触れられていませんが、2025年1月11日、大久保博氏は直腸がんのため、75歳でその生涯を閉じました。

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