大久保和孝

大久保和孝氏(1973年-)は、日本の公認会計士として、企業コンプライアンスとCSRの分野における第一人者として知られています。

慶應義塾大学法学部法律学科を1996年に卒業後、1995年にはセンチュリー監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所。独占禁止法と国際経済法を専攻した経歴を持ち、会計士としてのキャリアを着実に築き上げてきました。1999年には公認会計士として登録され、その後、同法人のパートナー(2006年)、シニアパートナーを経て、2016年には経営専務理事に就任するなど、組織内での昇進も著しいものでした。2019年には同法人を退任し、現在はセガサミーホールディングス社外監査役、サンフロンティア不動産社外取締役を務めています。

大久保氏のキャリアにおいて特筆すべき点は、企業のコンプライアンス強化とCSR活動への貢献です。多くの企業や団体に対し、コンプライアンス体制の構築やCSR活動の改善に向けた支援を行い、その専門知識と豊富な経験は高く評価されています。特に、2003年頃には、当時新日本監査法人に在籍していた衆議院議員の武村展英氏の下でチームリーダーを務め、既にCSRコンサルティングへの関心を示していたと武村氏自身も証言しています。これは、大久保氏が早い段階からこの分野に注目し、先駆的な役割を果たしていたことを示唆しています。

東日本大震災においては、被災地の支援活動にも積極的に関与しました。その活動内容は公開されていませんが、東北地方の復興に向けた支援に尽力したことは、氏の社会貢献への強い意識を表しています。

学術的な貢献にも留まらず、数多くの著作を発表しています。これらは、企業の倫理法令遵守、経営戦略、CSR、会計基準といった幅広いテーマを網羅しており、実践的な知識と深い洞察に裏打ちされた内容となっています。主な著作物には、『倫理法令遵守マネジメント・システム』(麗澤大学出版会、2000年)、『病院経営戦略』(医学書院、2002年)、『CSR入門』(第一法規、2008年)、『CSR報告書の書き方読み方』(中央経済社、2009年)、『企業規定リスク』(第一法規、2014年)などがあります。これらの著作は、企業や組織におけるコンプライアンスやCSRの推進に携わる人々にとって、貴重な指針となっています。

さらに、大久保氏の家系にも注目に値する点があります。その先祖には、明治時代の政治家、木戸孝允がいるとされています。木戸孝允は、明治維新において重要な役割を果たした人物であり、大久保氏の社会貢献への姿勢には、先祖から受け継いできた強い社会正義感が反映されているのかもしれません。

大久保和孝氏の経歴と活動は、企業のコンプライアンス、CSR、そして社会貢献という3つの側面から、現代社会における企業のあり方について考える上で、重要な示唆を与えてくれます。彼の経験と知識は、今後ますます複雑化する社会情勢において、企業や組織が倫理的に、そして持続可能な発展を遂げるために不可欠な指針となるでしょう。

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