大井川用水

大井川用水について

大井川用水は、静岡県の大井川周辺の8市2町に農業用水を供給する、国と県が管理する重要な灌漑用水です。その規模と重要性から、日本を代表する用水の一つとして、農林水産省の疏水百選にも選定されています。

概要

大井川用水は、中部電力川口発電所の放水口下流から取水しています。そこから、大井川の左岸は焼津市まで、右岸は大井川水路橋を渡って袋井市まで、広範囲な地域に水を供給しています。この広大な水路網は、地域の農業を支えるだけでなく、生活用水や工業用水としても重要な役割を果たしてきました。

水利権管理者

大井川用水の水利権は、関東農政局大井川用水農業水利事業所が管理しています。

受益自治体

大井川用水は、以下の地域に水を供給しています。

大井川左岸地域：島田市（旧初倉村含む）、焼津市、藤枝市、牧之原市、榛原郡吉田町
大井川右岸地域：掛川市、菊川市、御前崎市、袋井市、島田市（旧金谷町）

事務所所在地

大井川土地改良区：静岡県島田市中央町30-2
大井川右岸土地改良区：静岡県菊川市加茂4905-2

マスコットキャラクター

大井川用水には、地域ごとのマスコットキャラクターが存在します。

右岸：カワセミ
左岸：アユカケ

主な施設

大井川用水には、以下の主要な施設があります。

大井川水路橋（小笠幹線水路橋）

大井川水路橋は、大井川の左岸から取水した水を右岸側に送るために建設された水路橋です。島田市神座と同市横岡を結び、全長742m、幅4.3mの規模を誇ります。この橋は一般にも開放されており、午前6時から午後8時まで通行可能です。自動車、オートバイ、軽車両、歩行者が通行できますが、原動機付自転車以上の車両は時間帯による交互通行となります。

以前は旧水路橋がありましたが、老朽化により撤去されました。現行の水路橋は、2007年に旧水路橋から切り替えられ、2009年6月9日から一般通行が可能となりました。

赤松発電所

赤松発電所は、島田市相賀に位置する特種東海製紙が所有する水力発電所です。1957年10月に稼働を開始し、最大出力6,310kWを発電しています。

伊太発電所

伊太発電所は、島田市伊太に建設されたマイクロ水力発電所です。赤松幹線水路の落差を利用しており、最大出力893kW、年間約400万kWhを発電しています。2013年7月に稼働を開始しました。

大井川サイホン（榛南幹線）

大井川サイホンは、榛南地域（島田市初倉地区、吉田町、牧之原市）への給水のために、大井川の下を通過するサイホンです。島田市道悦島から同市谷口にかけて設置されています。

違法転用問題

大井川用水は、本来農業用の灌漑用水として利用されるべきものでしたが、長年にわたり一部が上水道や工業用水として転用されてきました。これは、地域の人口増加と工業化に貢献した一方で、法的には認められない行為でした。

この問題に対応するため、2006年度中にこれらの転用を是正することが求められました。上水道に関しては静岡県が保有する水利権を利用して大井川広域水道企業団が給水を開始し、工業用水については周辺自治体で組織する東遠工業用水事業団が供給を開始したことで、この問題は解決しました。

外部リンク

大井川用水農業水利事業所
大井川用水土地改良区
静岡県大井川広域水道企業団
サンデープロジェクト「なぜ水は盗まれたのか」(5月2日放映)について - 農林水産省

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