大井火力発電所爆発事故

大井火力発電所爆発事故の概要

1987年5月26日、東京電力大井火力発電所の中央部に位置する第二原油サービスタンクが爆発・炎上するという痛ましい事故が発生しました。この事故により、作業員4名が死亡、1名が重傷を負い、さらに消防士1名が軽傷を負うという甚大な被害が出ました。

事故が発生したのは、原油をタンクに送り込むための「第二ユニット」でした。午前9時6分頃、突如として「ドーン」という轟音とともに、地面が大きく揺れました。同時に、炎が激しく噴き出し、黒煙は数百メートルもの高さにまで立ち上りました。この事態を受け、東京消防庁は消防車、化学車、消防艇など、計58隊もの大規模な消防部隊を緊急出動させ、消火活動にあたりました。

事故原因の詳細

この爆発事故の原因は、配管の溶接作業における重大なミスにありました。本来、溶接作業を行う際には、爆発を防止するために、可燃性ガスを安全に除去する必要があります。問題の「空気抜き管」にはバルブが設置されていなかったため、溶接作業時には、細かく砕いたドライアイスを管内に注入し、管内を冷却すると同時に、炭酸ガスで可燃性ガスを追い払う必要がありました。しかし、この重要な手順が怠られたため、管内に充満していた可燃性ガスが、溶接の熱や火花によって引火し、爆発に至ったとされています。

事故後の対応と責任追及

警視庁による捜査の結果、可燃性ガスを適切に排除するなどの安全対策を怠ったことが、この事故の直接的な原因であると断定されました。これにより、施工を担当していた石川島播磨重工（現IHI）の現場責任者3名が、業務上過失致死傷の疑いで書類送検されることとなりました。

この事故は、大規模な産業施設における安全管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。また、作業手順の徹底と安全教育の重要性を再認識させる出来事となりました。この事故を教訓として、安全対策の徹底と、二度とこのような悲劇を繰り返さないための努力が続けられています。

関連事項

この事故に関連して、1987年7月23日には首都圏で大規模な停電が発生しています。この停電と大井火力発電所爆発事故との直接的な関連性は確認されていませんが、社会インフラにおけるリスク管理の重要性を改めて認識させる出来事となりました。

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