大動脈

大動脈とは

大動脈（だいどうみゃく、英語: aorta）は、心臓の左心室から血液が流れ出す際に最初に形成される主要な動脈です。この動脈は上昇した後、弓の形に曲がりながら下降し、最終的には総腸骨動脈で分岐します。大動脈の直径は約25mmから30mmとされており、全身の血液循環を司る重要な役割を果たしています。

解剖学的構造

大動脈は他の動脈と同様に内膜、中膜、外膜の三層から成り立っています。心臓の左心室から始まる大動脈は、頭頸部に向かって上行します。これを「上行大動脈」と呼び、続いて大動脈弓を形成しつつ、腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈へと分枝します。これらの分岐は個人によって異なる場合があります。その後、大動脈は下行し、胸部大動脈となり、胸腔を通過します。下行大動脈は胸部大動脈と腹部大動脈の両方を含む概念として扱われます。最終的には、左右の総腸骨動脈に分かれ、血液を下肢へと供給します。

大動脈に関連する検査

大動脈の状態を確認するためのいくつかの検査方法があります。心臓カテーテル検査では、大動脈内の血圧を直接測定することが可能です。また、胸部X線写真によっては大動脈弓やその下行部分の影を確認することができ、石灰化や血管の蛇行についての情報を得ることができます。さらに、CTスキャンは大動脈の詳細な画像を提供し、造影剤を使用することで内腔の状態を明確に描出し、大動脈瘤や大動脈解離の診断に役立ちます。

大動脈に関わる疾患

大動脈に関連するさまざまな疾患が存在します。

• - 大動脈解離: 血管の層が分かれてしまう疾患で、激痛を伴い、血流の障害を引き起こします。
• - 大動脈狭窄症: 大動脈が先天的に狭く、重篤な循環障害をもたらすことがあります。
• - 大動脈瘤: 大動脈が袋状に膨らむ状態であり、破裂することで突然死を引き起こす可能性があります。
• - 高安動脈炎: 大動脈やそのほかの主要な動脈に炎症が生じ、狭窄を引き起こす稀な病気です。
• - マルファン症候群: 結合組織の異常を引き起こす遺伝性疾患で、大動脈に影響を及ぼすことがあります。

これらの疾患は、適切な診断と治療が求められるため、定期的な健康診断や専門医の評価が重要です。大動脈は生命維持において非常に重要な役割を果たしているため、その健康状態を把握することは必要不可欠です。

もう一度検索