大原御幸

大原御幸（おおはらごこう）とは

大原御幸は、後白河法皇が平氏の滅亡後に大原に隠棲した建礼門院（平徳子）を訪れたという出来事に関する話です。この故事の真実性は明確ではないものの、主に『平家物語』のいくつかの版や、説話集『閑居友』にその記載が見られます。

背景

平家物語によれば、徳子は壇ノ浦で一族を失った後、京都に戻り、やがて出家して隠棲することとなります。大原の寂光院にて、彼女の元に後白河が訪れたのは、1186年の春のことです。この時期、後白河は彼女との再会を強く願い、彼女の元に向かいました。

後白河法皇の訪問

徳子が隠棲している寂光院に、後白河法皇は公卿や武士たちを引き連れて到着します。しかし、出かけていた徳子はその場に不在であり、老尼が法皇を迎え入れます。この老尼は徳子の師である阿波内侍の娘であり、法皇は彼女の言葉に感銘を受けるのです。しばらくして、徳子が戻り、二人は再会します。

六道語りの開始

後白河は徳子に、彼女が訪れた境遇について尋ねます。それに対し、徳子は自身の人生を振り返り、仏教の「六道」による説明を始めます。彼女は自身の生涯を天上道、人間道、餓鬼道、修羅道、地獄道、畜生道に分類し、それぞれの苦しみについて語ります。

天上道

「私は平清盛の娘として生まれ、全てが思い通りでしたが、それがいつしか奈落の底に沈むことになるとは、夢にも思いませんでした。」と、彼女は栄光の時代を懐かしむかのように語り始めます。

人間道

「人生にはさまざまな苦しみがあり、特に愛別離苦や怨憎会苦が多くの人に試練を与えるのです。」と、彼女は愛する者との別れや、憎しみを抱く者との遭遇についての苦悩を語ります。

餓鬼道

琴を弾くように、厳しい生活を送った様子を描写し、「生きるためには食事を得ることもままならず、苦しい日々を送っていました」と述懐します。

修羅道

戦の果てに一族が滅び、多くの愛する者を失った後の彼女の心情は、戦いの音が心の傷を深めていく様を暗示しています。

地獄道

壇ノ浦での悲劇を持ち出し、安徳天皇の入水に至るまでの切ないストーリーを語ります。「ほかの人々は生き延びましたが、私だけがこの運命に翻弄されています。」と彼女は嘆きます。

畜生道

最後に、徳子は夢の中の龍宮城の話を持ち出しながらも、重苦しい現実を反映させた形で語ります。「私が見た夢は、果たして幸せなものだったのでしょうか。」と述べ、この世の無常を象徴します。

結論

大原御幸は、日本の平安時代における人々の思いと深く結びついた物語であり、この故事を通じて、徳子と後白河法皇の人間的なつながりを感じることができます。また、様々な異本が存在する『平家物語』の中で、その内容は多様であり、研究者たちによる解釈も異なります。

このように、大原御幸は歴史的な出来事を基にした物語であり、時代を超えて人々に語り継がれています。

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