大原記念労働科学研究所

公益財団法人大原記念労働科学研究所について

公益財団法人大原記念労働科学研究所（以下、労働科学研究所）は、労働者の労働条件や環境の向上を追求する研究機関です。1921年に創立され、2021年には100年の節目を迎えました。元々は文部科学省の所管となっていましたが、その活動は今も多岐にわたる分野で展開されています。

研究の概要

労働科学研究所は、産業界の健全な成長を促し、働く人々の安全や健康、さらにやりがいのある労働を実現するために、学術的かつ技術的なアプローチを用いて研究を進めています。これにより、基礎データの収集から、具体的な問題解決に向けた方法やツールの開発を行い、安全で豊かな労働環境づくりに貢献しています。

沿革

倉敷紡績の社長であった大原孫三郎の主導で設立された労働科学研究所は、当初は倉敷の工場内に位置していました。大原は自らの財産を使って多くの慈善活動を行い、それを支える研究所の発展に寄与しました。その後、1930年代に研究所は東京に移転し、財団法人の形態を経て現在の公益財団法人へと移行しました。この間、さまざまな名称変更や戦時中の管轄がありましたが、独立した研究機関としての活動は一貫して続けられています。

2012年には公益財団法人に移行し、2015年には現在の名称に改称。東京の新宿エリアに研究の拠点を移しました。このように、労働科学研究所は時代のニーズに応じて、場所や名称の変遷を経ながら進化し続けています。

活動内容

研究所の活動は多岐にわたり、医学、心理学、工学、社会科学などの専門家がチームを組んで共同研究を行っています。この協力体制から得られた成果は、機関誌『労働科学』やハンドブックを通じて発表され、広く情報が普及されています。

世界中には多くの労働安全衛生に関連した機関がありますが、その多くは公的機関です。一方、労働科学研究所は民間の研究機関として重要な役割を担っており、長年にわたる信頼と支持を得て活動を行っています。この背景には、維持会員企業や個人からの支援があることが挙げられます。

また、研究所は2008年に「大原ネットワーク」を結成し、多機関との連携を強化しています。このネットワークは、労働科学分野における情報共有と活動支援を目的としています。

組織構成と所在地

労働科学研究所の理事長は濱野潤氏が務めており、研究者数は現在、常勤が13名、非常勤や嘱託が87名という体制です。研究所は東京都の渋谷区に本部があり、研究拠点も新宿に設けられています。この2つの拠点から日々研究や活動が展開され、労働環境改善に寄与するための取り組みが行われています。

維持会に所属する企業や個人は、研究所が提供するセミナーに無償で参加できるほか、学術誌や最新の情報を受け取る特典もあります。

今後の展望

労働科学研究所は、継続的な研究を通じて労働者の生活向上に資する活動をさらに深化させていく予定です。特に、新たに取り組まれる人間工学に基づく研究や、社会的なニーズに対応した教育プログラムの展開も期待されています。

このように、大原記念労働科学研究所は、過去の伝統を大切にしつつ、未来に向けた新しい挑戦を続けていくことを目指しています。

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