大和瀬達二

大和瀬達二

概要

大和瀬達二氏は、1926年に生を受け、日本の経済学界において重要な足跡を残した研究者です。特に近代経済学を専門とし、早稲田大学政治経済学部の教授として多くの学生を指導しました。同学部の名誉教授の称号を授与され、2011年にその生涯を閉じられました。

経歴

大和瀬氏の学究生活は、早稲田大学から始まりました。1951年、同大学の第一政治経済学部経済学科を卒業。学士号取得後も学びを深めるため、大学院経済学研究科の博士課程に進みました。ここでは高度な経済理論の研究に専念し、その専門性を磨きました。研究の成果は認められ、早稲田大学より経済学博士の学位を授与される栄誉に浴しています。

大学院修了後、母校である早稲田大学政治経済学部に教員として迎えられ、以降、長きにわたり教育者、研究者としてのキャリアを積みました。教授に昇任後は、専門分野である近代経済学を中心に講義を行い、また研究室を主宰して後進の指導にあたられました。学術研究の推進と教育の質の向上に尽力し、早稲田大学の経済学教育において中心的な役割を担われました。1996年に早稲田大学を定年退職し、長年の功績を称えられ、名誉教授の称号を授与されました。

研究と業績

大和瀬氏の専門分野は、近代経済学でした。近代経済学は、アダム・スミス以来の古典派経済学やマルクス経済学などに対する新しい流れとして登場し、特にマーシャル以降、限界効用理論などを取り入れ、現代経済学の基盤を形成した理論体系です。ミクロ経済学、マクロ経済学といった現代経済学の主要分野は、この近代経済学の枠組みの中で発展してきました。大和瀬教授は、特にこの近代経済学における理論的な側面に深い関心を持ち、研究を進められました。

氏の主要な著作として、単著『寡占経済理論の構造』（新評論）が挙げられます。この著作は、少数の企業が市場を支配する寡占という市場構造に焦点を当て、その理論的なメカニズムや企業の行動様式について詳細な分析を行ったものです。市場構造論、産業組織論といった分野にも関連するこの研究は、近代経済学の応用的な側面を示すものとして、当時の経済学界において注目されました。この一冊は、氏の長年にわたる研究活動の集大成の一つであり、専門分野における権威を示すものと言えるでしょう。

晩年と逝去

大学を退職された後も、大和瀬氏は研究者としての探究心を失うことなく、ご自身のペースで研究や執筆活動を続けられていた可能性があります。長年の教育・研究生活を通じて培われた知見は、退職後も様々な形で活かされていたことと思われます。

大和瀬達二氏は、2011年2月中旬に84歳で逝去されました。日本の経済学界、特に早稲田大学において、教育者として、研究者として大きな貢献をされた氏の逝去は、多くの関係者に惜しまれました。その功績は、著書を通じて、また氏の指導を受けた多くの卒業生や研究者たちの中に引き継がれています。

大和瀬達二氏の生涯は、経済学の研究と教育に捧げられたものであり、日本の学術史において、また早稲田大学の歴史において、重要な一頁を占めるものです。氏の研究と思想は、今後も多くの経済学者や学生たちにとって貴重な指針となることでしょう。

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