大善院 (常滑市)

大善院について

愛知県常滑市奥条に位置する大善院（だいぜんいん）は、真言宗豊山派の重要な寺院で、補陀落山という山号を持ちます。ここは知多四国霊場の63番札所であり、観光スポットとしても訪れる人々に愛されています。大善院の本尊は十一面観音菩薩で、地域の信仰の象徴です。

歴史的背景

大善院の起源は古く、白鳳年間（684年）にさかのぼります。当時、天武天皇の勅願寺として知多郡西阿野村の御嶽山に僧院が設立されましたが、時の流れで衰退しました。その後、養春上人がこの地に十一面観音を移し、大善院を創建したと伝えられています。

弘仁年間には、著名な僧侶である空海がこの寺を訪れ、自らの作である見護弘法大師像や加持霊水を残しました。これは大善院の僧院としての地位を確固たるものにした出来事でした。

中世に入ると、文明元年（1469年）、初代常滑城主の水野監物忠綱が大善院に十一面観音菩薩の像を建立し、興覚法印がこの寺の中興開山となりました。さらに明応3年（1494年）には、常石神社から素戔嗚尊を移し、鎮守社が設けられています。1809年には、亮山によって霊場の開創が発願され、大善院は知多四国霊場としての役割を果たし始めました。

近代においては、1872年に大善院に義校が設立され、数年後には奥条学校（現在の常滑市立常滑西小学校の前身の一つ）となりました。2013年には、陶製ブロック塀が「大善院陶製建材資料群」として文化庁の保存資料に登録されました。

境内の見所

大善院の境内には多くの見所があります。主な建物には本堂、大師堂、そして兵庫県宝塚市から移築された冬花庵観音堂があります。この観音堂は、有名な画家・橋本関雪のアトリエとしても知られています。

また、大善院には地域のシンボルとされる「大善院のイブキ」という名木があります。このイブキは樹高15メートル、幹周り4メートル、根周り5メートルという見事なサイズを誇るヒノキ科の常緑高木で、推定樹齢は500年から600年にもなります。雌木であるため、4月から5月にかけて薄緑色の花を咲かせるものの、近くに雄木がないため実を結ぶことはありません。このイブキは、興覚法印が亡くなった延徳元年（1489年）に植えられたとされています。

文化財

大善院は文化財の宝庫でもあります。県指定の天然記念物としては、先述のイブキが挙げられます。また、木造の十一面観音立像は鎌倉時代の作であり、高さ174.2センチの寄木造とされています。この像も1971年に常滑市の文化財として指定されました。

アクセス

大善院の所在地は愛知県常滑市奥条5丁目20で、名鉄常滑線常滑駅から徒歩でアクセス可能です。歴史と信仰が交差するこの寺院は、訪れる人々に深い感動を与えるスポットです。是非、足を運んでその魅力を体験してみてください。

もう一度検索