大国主の国づくり

大国主の国づくり

概要

大国主の国づくりとは、日本神話に登場する大国主（大己貴命）が葦原中国をどのように形成していったのかを描いています。この物語は、神々の協力や試練を通じて、土地や人々の繁栄を導く重要な意味を持っています。

神々の出会い

古事記によれば、大国主は出雲の美保岬に滞在している時、海の向こうから小さな神が現れます。この神は、蛾の皮を剥がして作った衣服を身にまとっていました。大国主がその名を尋ねるも、名を答える者はおらず、従者もその名を知りませんでした。そこで、ヒキガエルの多邇具久が登場し、「久延毘古が知っているだろう」と告げます。久延毘古に尋ねると、彼はその神の名を「少名毘古那」と教え、彼が神産巣日神の子であると説明しました。

国造りの始まり

少名毘古那神は、大国主と共に国づくりを行うことになりました。神産巣日神は、少名毘古那に大国主と共に国を作るよう指示し、二人は協力して葦原中国の形成に取り組みました。しかし、少名毘古那が常世に去ってしまった後、大国主は一人での国造りに不安を感じました。その瞬間、海を照らす神が現れ、彼に対し「私は汝の幸魂奇魂である」と名乗り、丁重に祀ることが国造りに協力する条件であると告げました。

幸魂奇魂の教え

この神は、大和国の東の山に祀るよう要請し、後にその神は御諸山（三輪山）に鎮座したと言います。日本書紀でも、大己貴命と少彦名命が共に人々に恩恵をもたらす医薬神および農耕神としての役割を果たしていることが強調されています。彼らは、病の治療法や害虫対策に関する禁厭の法則を定め、人々がその恩恵を受けることとなります。

大国主の問いと答え

大国主は少彦名命に「私たちが造った国はうまくいったのだろうか？」と尋ね、少彦名命は「うまくいった部分もあれば、行き届いていない部分もある」と答えました。その後、少彦名命は常世郷に向かいましたが、大国主は自ら国の未完成部分を巡り、出雲国に到達します。彼は「葦原中国は初めから荒れており、岩や草木が力強く育っていた。しかし、私はそれを征服し、従わない者は一人もいない」との言葉で国の支配を誓うのでした。

独りの国造り

その後、大国主は一人で国造りを続けますが、以前の伝説とは異なり、少彦名命が去った後の彼の独り立ちも描かれています。輝く幸魂奇魂と出会った後、また別の神と遭遇します。この神は、彼を掌に乗せて玩ぶと不思議な感覚を伴う存在であり、その正体を探るために、天神に報告します。すると、高皇産霊尊から、「私の子は8700柱いるが、その中には特に従順でない者もいる。指の間から漏れたのが彼だろう」との返答がありました。この神が少彦名命であるとされています。

結論

大国主の国づくりの物語は、神々の助け合いや協力によって国が形成される過程と、同時に神々の個性や特徴が描かれています。また、日本書紀との相違点も示されており、神話の魅力に新たな側面を加えています。

もう一度検索