大山陽生

大山 陽生

大山 陽生（おおやま はるお）氏は、1927年に生まれ、2015年にその生涯を閉じた、日本の造園分野における重要な研究者です。特に緑地意匠学を専門とし、教育と研究の両面で後世に大きな影響を与えました。

氏は長年にわたり、明治大学農学部の教壇に立ち、造園学研究室および緑地意匠学研究室を主宰しました。大学における教育者としての役割は大きく、その指導のもと、多くの学生が造園の道に進み、日本の緑地環境の発展に貢献しました。研究室を率いる中で、専門である緑地意匠学の理論と実践を探求し、次世代の研究者や実務家の育成に情熱を注ぎました。

大山氏の研究は、多岐にわたる造園領域に及びましたが、中心は「緑地意匠学」という分野にありました。これは、単に植物を配置するだけでなく、空間全体をデザインし、人々の生活や環境に調和する緑地を創造するための理論と技術を探求する学問です。氏の研究成果は、数多くの著作として結実し、専門家のみならず、広く一般の人々にも造園や緑地の重要性を伝える役割を果たしました。

主要な著作としては、以下のようなものが挙げられます。

『造園美学―場の造形と構成』（誠文堂新光社、1969年）

造園における美の本質を探求し、空間の構成や造形理論に焦点を当てた、氏の美学的な視点を示す代表作の一つです。

『住宅の造園 - 住環境と庭』（鹿島出版会、1980年）

住宅に付随する庭や緑地が、居住環境にいかに貢献するかを具体的に論じた書籍です。実生活に根差した造園のあり方を示しました。

『緑空間の計画技法』（彰国社、1987年）

都市や地域における緑地の計画、設計に関する技術的な側面を解説した著作であり、実践的な視点からのアプローチを示しています。

『緑地と環境緑化計画』（監修、景観緑地研究会編、フジ・テクノシステム, 1992年）

緑地が持つ環境保全機能や生態系への貢献に焦点を当て、広範な視点から環境緑化計画の重要性とその手法を提示しています。

これらの著作を通じて、大山氏は造園学の理論体系化に貢献するとともに、実践的な計画手法や、人々の生活に寄り添う造園の思想を広く共有しました。特に、初期の著作から晩年に至るまで、一貫して緑地が単なる装飾ではなく、環境や人間生活の質を高めるための重要な要素であるという視点を強調しました。

明治大学での教育活動と並行して行われた精力的な研究活動は、日本の造園分野、特に緑地意匠学の発展に不可欠な基盤を築きました。氏の理論や思想は、現在も多くの研究者や造園家によって引き継がれています。1927年から2015年までの長い生涯を通じて、大山陽生氏は日本の緑豊かな環境づくりに貢献し続けた、偉大な造園研究者です。

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