大崎 (大奥御年寄)

大崎（おおさき）

生涯

大崎は、江戸時代後期に大奥で権勢をふるった御年寄です。生没年は不明で、出自についても詳しい記録は残っていません。一説には徳川家斉の乳母であったとも言われますが、確証はありません。

「徳川諸系譜」によると、大崎は元々一橋家に仕えており、家斉が誕生した際には御誕生御用掛、つまり助産婦を務めていました。その後、江戸城西の丸に移り、安永7年（1778年）頃には御客会釈という役職に就いていたことが記録されています。

天明元年（1781年）には、家斉が将軍世子となることが公表される直前に、本丸大奥の御年寄に昇進しました。この昇進は、当時の政治情勢、特に田沼意次から松平定信への老中交代に大きく影響されたと言われています。

大崎は松平定信と親密な関係を築き、「表は松平定信、奥は大崎」とまで言われるほどの権力を誇りました。しかし、定信が老中に就任後、初めて会った際に大崎が「（老中と御年寄は）御同役であるから、奥向きのことは御相談申して…」と発言したことがきっかけで、両者の関係は悪化します。定信は「同役とは何だ。大奥に老中があるのか」と激怒し、両者は対立するようになりました。定信が大奥の改革に着手しようとした際、大崎は早々に大奥を去り、その後については詳しい記録が残っていません。

このような経緯から、大崎は家斉時代の大奥を代表する御年寄として知られていますが、天明7年（1787年）の「分限帳」の記録によると、当時、大崎は御年寄の中で7番目の序列に位置しており、高岳、滝川、野村といった他の御年寄には及ばず、筆頭になることはありませんでした。

関連作品

大崎を題材にした作品として、以下のものがあります。

フジテレビ『大奥 第一部〜最凶の女〜 第二部〜悲劇の姉妹〜』（2016年、演：浅野ゆう子）
NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』（2025年、演：映美くらら）

脚注

参考文献

『徹底図解 大奥―将軍のために用意された秘密の空間』（榎本秋、新星出版社、2008年）
『江戸の悪党』（山下昌也、学研パブリッシング、2010年）

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