大幽霊屋敷 〜浜村淳の実話怪談〜

『大幽霊屋敷 〜浜村淳の実話怪談〜』は、1998年7月2日にヴィジットからPlayStation向けにリリースされたサウンドノベル形式のアドベンチャーゲームです。翌年には価格を改めた廉価版も登場しました。

タイトルの読み方は「だいゆうれいやしき」ではなく、「だいおばけやしき」とされています。

ゲームは、サウンドノベルの形式で物語が進みます。プレイヤーは主人公として、登場人物から怪談を聞いたり、書物で読んだりすることになります。主人公の行動を選択するパートでは、会話中に二つの選択肢が現れ、どちらを選ぶかで聞ける怪談が変わります。怪談を聞いた後の選択肢は、相手からの好感度に影響を与え、好感度が低いと物語が途中で終わってしまうこともあります。

怪談は、登場人物が語るものはフルボイスで、書物を読む形はテキストで表示されます。どちらの形式の怪談も、再生中に選択肢は出現しません。一度聞いた怪談は、ゲーム内の「実話怪談集」モードでいつでも聞き返すことが可能です。ゲーム中のグラフィックは実写とCGを組み合わせて使用されています。

本作には、怪談の語り手として知られる浜村淳氏と、聞き書きを担当した大迫純一氏が、ゲーム内の登場人物として同名の役で出演しています。なお、浜村氏が語る怪談の一部は、ゲームと同名のCDとして1998年8月に発売されています。

ゲームソフト自体も後に廉価版がリリースされましたが、その際にパッケージデザインが変更されています。

ゲームに収録されている怪談は合計41本です。内訳は以下の通りです。

浜村淳氏の語り：13本（※印）
大迫純一氏の語り：5本
その他の登場人物の語り：8本
テキスト形式：15本（☆印）

ゲーム内容

物語の進行に加えて、ミニゲーム要素も含まれています。特定の場面では、足音のリズムに合わせてタイミングよくボタンを押すミニゲームが発生します。このミニゲームは二度プレイする機会があり、成功するとテキスト形式の怪談が一つずつ追加されます。ミニゲームをクリアできなくても、ゲーム本編は進めることができます。

また、ゲーム中には、霊らしきものが写り込んでいる実写グラフィック（いわゆる心霊写真）がいくつか挿入されており、それらの写真における霊の位置はエンディングで明かされます。

ストーリー

物語は、ある年の夏休み、大学生である主人公・久我晶が、奇妙な「大幽霊屋敷」のアルバイト面接に訪れるところから始まります。この屋敷の面接方法は独特で、スタッフたちがアルバイト希望者に対して次々と怪談を聞かせ、その反応を見て採用・不採用を決めるというのです。果たして、主人公を待ち受ける恐ろしい怪談とは一体…？（主人公の名前は変更可能で、性別は男性です。ゲーム中のセリフは選択肢以外にありません。）

収録怪談リスト

スイカ※
鏡でつくったもの
忘却の花園☆
見えない女※
きもだめしの夜に
足売り婆さん☆
鬼子☆
生首神社☆
くびなし地蔵※
夜明け前の手
地獄絵☆
溺れさせる老婆※
乗せろ
ついてきた影
つり橋
帰らないコックリさん☆
私にも聞かせて※
鬼の手☆
公園
消えた遺体※
死神
ドライブ※
カシマ大明神※
路地裏の帳面☆
まわりを回るもの※
焼きついた影
死神停留所の幽霊バス☆
むさぼる者
長い髪
後ろの彼女☆
嘆く声☆
見えない物と見えた物
前ぶれ
山道
峠のサンルーフ☆
消えた少女※
帰ってこい☆
戻ってくる人形※
幽霊トンネル※
異次元の町☆
手を振る銅像※

※印は浜村淳氏が語る怪談、☆印はテキスト表示される怪談です。

主な登場人物

久我晶: 本作の主人公。大幽霊屋敷のアルバイト面接を受けに来た大学生。
浜村淳: 大幽霊屋敷の支配人という設定。車好きで、屋敷を怖くすることに情熱を燃やす。
大迫純一: 屋敷のベテランスタッフ。心霊現象に詳しく、霊能者との繋がりもある。
占い師: 占いですべてを決める男性スタッフ。
受付の女性: スタッフの一員で、怪談集の完成度にこだわる。
男性スタッフ: 本名不明。悪霊で友人を失い、霊の恐ろしさを伝えるために働く。
佐古井: かつてスタッフだった既婚女性。臨時で手伝う。
* 謎の女性: 主人公が面接中に休憩室で一度だけ出会う。

評価

ゲーム雑誌『ファミ通』のクロスレビューでは、40点満点中24点という評価でした。好意的な意見としては、浜村淳氏の関西弁による語りが独特の雰囲気を作り出している点や、演出に頼りすぎず話自体で怖がらせる点が挙げられています。また、実話らしさや、ヘッドフォン使用時の演出が評価されました。一方で、否定的な意見としては、怪談ごとの演出のばらつき、怪談に慣れたプレイヤーには物足りない可能性、安っぽいグラフィックや語り方の演技が冷めてしまう点、浜村淳氏の語りに映画解説のような熱気が感じられない点が指摘されています。

本作は、著名な語り部を起用し、独特の面接システムと多数の実話怪談を体験できる、サウンドノベルとして異色の作品と言えるでしょう。

もう一度検索