大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION

大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION

『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION』は、近藤和久によって2003年に出版された漫画作品です。これは、1966年に公開された特撮映画『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』を元にし、近藤が新たに描写を加えたものです。近藤は、1995年に公開された『ガメラ 大怪獣空中決戦』に強い感銘を受け、ガメラの漫画作品を描くことを考え、角川書店にその意向を伝えました。これが、彼の執筆活動の出発点となりました。

著者の近藤が精神的な支柱となる作品からの影響を受けていることは、彼自身の言葉にも表れています。しかしながら、当時彼は連載中の作品があったため、漫画制作はなかなか進展しませんでした。特にアシスタントを雇わずに自身だけで作業を進める中で、完成が遅れ、1999年に『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の公開が終わってもなお完成しない状況が続きました。近藤は「映画化に合わせた作品ではなく、あくまで独立した物語を書くつもりだった」と語ります。

ストーリーの概要

物語は、パイロットの開田、宝石商の井上、学者の下丸子が、ニューギニア近くの島でバルゴンの骨や宝石を発見することから始まります。この発見はやがて、巨大なオパールを巡る争いへと発展し、井上は下丸子を射殺するという悲劇的な結果を引き起こします。地震と浸水が同時に襲いかかり怪しい運命に導かれた開田は、アヤという少女によって助けられ、バルゴンを退治する決意を固めることになります。

バルゴンは井上に襲い掛かることで海上へと退去し、その後神奈川県へ上陸していきます。この一連の事件は怪獣バルゴンの存在を改めて世に知らしめることになります。

キャラクターと怪獣

本作の中で特に目を引くのは、主役である二大怪獣、ガメラとバルゴンです。ガメラは、地球に迫る危機を感じ取り、再び戦いに赴くことになっています。一方、バルゴンは新たなデザインで描かれ、従来のワニに見られた姿とは異なり、イグアナに似た形態で描かれています。

バルゴンには、他者の欲望を刺激し凶暴化させる能力や、水中から発せられる虹色光線で相手を攻撃する力があります。また、彼の卵が物語に大きく関与し、全体を通して重要な役割を果たしています。

さらに、登場人物達も物語の魅力の一つです。開田とアヤは物語を通じて重要な役割を果たすことになり、怪獣との壮絶な戦いに巻き込まれながら成長していきます。

特撮トーク

本作には、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の特撮監督である樋口真嗣へのインタビューも含まれており、特撮制作の裏側についての貴重な意見が聞けます。彼はシーンの中で「米軍の描写ができないのが残念だった」と振り返り、また「怪獣同士の戦闘描写が多い作品も面白い」と述べています。このような視点からも、作品がどのように構築されているかを知ることができます。

関連作品

本作は、ガメラ作品群の中でも特別な位置づけにあり、物語は『ガメラ2 レギオン襲来』と『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の間に位置付けられています。作品の魅力は、怪獣同士の激闘や人間ドラマが巧みに絡み合い、観客の心を捉えるところにあります。

このように、『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION』は、古典的な特撮の要素を新たに生かしつつ、独自のストーリーを展開した作品となっています。

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