大成丸 (2代)

大成丸の歴史と役割

大成丸は、航海訓練所により運用されていた航海練習船であり、1954年に就航した2代目の船です。本船の前身は、日本郵船が建造した小型客船の一つである小樽丸でした。1948年に竣工され、小樽と新潟間の航路で活躍していましたが、1950年にこの航路が廃止されると、新たな役割を求められることとなります。

船の構造と改装

船の運命は1953年に大きく変わります。この年、航海訓練所では初代の練習船北斗丸が就航したことで、船員不足の補充が急務となっていました。当時の老朽化した標準船に替えるため、新たな練習船の建造が求められましたが、厳しい財政状況により新造は難しい状況でした。そこで、既存の貨客船を購入し、改装して練習船にすることが決定され、大成丸もその一隻として選ばれました。

1963年7月に日本郵船から航海訓練所へ売却された後、本船は約10メートルの船体延長工事を受け、さらに訓練設備も新設されました。この改装は安全性や居住性を考慮した重要なもので、1954年2月に完了し、大成丸 (2代)と命名されました。

訓練と航海実績

1954年4月1日に就航した大成丸は、訓練航海を行う傍ら、様々なミッションにも従事しました。航海には、富山、鳥羽、大島、弓削の商船学校の実習生が参加し、実地での貴重な経験を積む機会が与えられました。また、遠洋航海や、帰還輸送、遺骨収集といった多岐にわたる任務も遂行しました。特に、1965年にはガダルカナル島を訪れ、戦争による犠牲者の遺骨を日本に持ち帰ったことは、非常に意義深い航海と言えるでしょう。

船の衝突事故

しかし、練習生たちにとって順風満帆な航海ばかりではありませんでした。1969年には、東京商船大学と神戸商船大学の学生を載せた練習航海中、関門海峡での事故が発生しました。大成丸はタンカーと衝突し、船首付近に1メートルの穴が開くという大きな被害を受けました。この事故によって、タンカーからは軽油の流出もありましたが、大成丸はその後も修理を受けて活動を続けました。

老朽化と最終的な解体

1981年には新たな3代目大成丸が建造され、2代目大成丸の役割は終わりを迎えました。本船は同年4月に解体業者に引き渡され、運用を終えました。約27年間にわたり、208回の航海を行い、2,442日を航海して、延べ11,446名の実習生が乗船したという実績は、練習船としての大成丸の歴史的な価値を物語っています。

大成丸は短命ながらも、28隻組の中で国内で活躍した最後の船として記憶されることでしょう。

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