大成国

大成国：清朝末期に広西省で興った反乱政権

大成国（だいせいこく）は、19世紀中頃の清朝末期、1855年から1864年まで、現在の中国広西チワン族自治区を拠点に存在した政権です。この政権は、秘密結社である天地会の蜂起軍によって樹立されました。

大成国成立の背景

大成国が誕生した背景には、当時の清朝の衰退と社会不安がありました。アヘン戦争後の混乱、国内の貧富の差の拡大、そして官僚の腐敗などが蔓延し、民衆の不満は高まっていました。このような状況下で、天地会のような秘密結社が各地で勢力を拡大し、反政府運動を活発化させていきました。

天地会は、もともとは反清復明を掲げる秘密結社でしたが、清朝末期には社会不安を背景に農民や失業者などを巻き込み、大規模な反乱へと発展しました。その中でも広東省を拠点とする天地会は、有力な勢力の一つでした。

大成国の勃興

1855年4月、広東省の天地会首領であった陳開（ちんかい）と李文茂（りぶんも）は、軍勢4万を率いて広州を包囲しましたが、攻略には至りませんでした。そこで彼らは戦略を転換し、船団を率いて広西省へと進軍しました。広西省に侵入した彼らは、潯州（じんしゅう）を占拠し、そこを拠点として大成国を建国しました。

大成国の成立とともに、潯州は秀京（しゅうけい）と改称され、年号は洪徳（こうとく）と定められました。さらに、独自の貨幣を鋳造し、独立政権としての体制を整えようとしました。

陳開は自ら平潯王（へいじんおう）と称し、李文茂を平靖王（へいせいおう）、梁培友（りょうばいゆう）を平東王（へいとうおう）、区潤（くじゅん）を平西王（へいせいおう）、梁大昌（りょうたいしょう）を定北王（ていほくおう）にそれぞれ任命し、統治体制を構築しました。大成国軍は、その後、柳州（りゅうしゅう）、梧州（ごしゅう）、南寧（なんねい）へと進軍し、広大な地域を支配下におさめ、清朝に対抗しました。

大成国の滅亡

しかし、大成国の勢力拡大は長くは続きませんでした。1861年には、大成国の首都であった潯州が清朝軍によって陥落し、首領の陳開は捕らえられました。陳開が捕らえられた後も、残りの勢力による戦闘は継続されましたが、徐々に劣勢となり、1864年には完全に壊滅しました。大成国は、その短い歴史の中で、清朝の衰退を象徴する出来事の一つとして、歴史に名を残すこととなりました。

大成国関連人物

陳開（ちんかい）: 大成国の創始者であり、平潯王を称した。
李文茂（りぶんも）: 陳開と共に大成国を建国し、平靖王に任じられた。
梁培友（りょうばいゆう）: 大成国で平東王に任じられた。
李文彩: 大成国の将軍の一人。
* 黄鼎鳳: 大成国の将軍の一人。

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