大日本史料

『大日本史料』の概要

『大日本史料』は、1901年から現在に至るまで刊行が続いている、歴史的な日本の史料集です。この事業は、国史の体系的な編纂が行われていなかったため、欠落した部分を補う目的でスタートしました。対象は、平安時代の宇多天皇から江戸時代までの主要な歴史的出来事であり、これを年代順に整理し、信頼できる史料を文献として示しています。

経緯と編集方針

1895年に帝国大学文科大学内に設立された史料編纂掛、現在の東京大学史料編纂所がこのプロジェクトを担当しました。当初の計画は正史の編纂でしたが、最終的には史料集の形成に落ち着きました。編集にあたっては、江戸時代の和学講談所が編纂した「史料」を基にしました。この「史料」は宇多天皇の887年から後一条天皇の1024年までの資料を含むもので、未完成な部分を明治時代に編纂することになりました。

その後、宇多天皇の治世から1867年までを含む全16編が作成され、編集者たちは5600冊もの草稿を準備しました。1901年に第六編（南北朝時代）から刊行が始まり、第十二編（江戸時代）、続いて第四編（鎌倉時代）と続く形で多くの巻が完成しました。

戦後の動向

しかし、第二次世界大戦後の1945年から1951年までは出版が途絶えてしまいました。その後、坂本太郎が史料編纂所の所長に就任し、1952年から刊行が再開されます。この長期にわたる編集事業は、今や100年以上を超える大きなプロジェクトとなり、これまでに428冊が出版されています（2024年5月現在）。

出版状態と未刊行部分

『大日本史料』の範囲には江戸時代初期までの第12編までが含まれていますが、その後の第13編から第16編については「史料稿本」が作成されたものの、まだ刊行されていない状況です。近世に関しては、別途『大日本近世史料』や『大日本維新史料』というシリーズが用意されています。これにより、未刊行部分が多く残っているため、『史料綜覧』という補助的な資料も発行されています。この『史料綜覧』は、未刊行部分の把握や年表としての機能を果たしています。

データベースと記述法

『大日本史料』のデータベースは、東京大学史料編纂所の公式ウェブサイトで入手可能となっているため、研究者や歴史愛好者にとって貴重な資源です。また、記述スタイルには、まず要約文である綱文を示し、その後に史料を引用する形が取られています。このスタイルは江戸時代の和学講談所の「史料」を参考にしたものです。

具体的な構成例

例えば、源頼朝や足利尊氏、徳川家康の征夷大将軍就任に関する記事では、綱文に日付と重要な出来事を短く示した後、詳細な史料を引用する形が取られています。このような構成により、資料の信頼性が高まると同時に、研究や学習にも利用しやすくなっています。

『大日本史料』は、日本の歴史を知るための重要な鍵となる資料集であり、その刊行が続くことでより多くの歴史的事実が明らかになっていくことが期待されています。

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