大日本回教協会

大日本回教協会について

大日本回教協会（だいにほんかいきょうきょうかい）は、1938年に設立され1945年まで日本国内で活動していたイスラームに関する研究機関です。この協会は初代会長に元首相の林銑十郎が就任し、昭和13年から昭和20年にかけて、イスラーム文化の普及を目指す様々な活動を行いました。

設立の背景

日本陸軍がイスラームに注目をし始めたのは明治と大正の時代でしたが、その関心は小規模でありました。しかし、満州事変後、反共や反漢民族政策の一環として、中国内のムスリムコミュニティに対する理解が深まります。1932年には、大久保幸次が所長を務めるイスラム文化研究所が設立され、翌年には在日タタール人による東京モスクも設立されました。

協会の結成

1938年の4月、松岡洋右や井上清純などを含めた数名が集まり、イスラーム関連機関の設立を決定しました。1938年9月19日には九段軍人会館で創立式が行われ、約200名が出席しました。設立当初は陸軍省や海軍省、外務省の指導の下で運営され、外務省からの資金援助が主要な財源とされました。特に外務省は年間10万円の支援を行い、実際の指導が行われていました。

主な活動内容

協会の目的は、地域のイスラームについての知識の普及と文化の紹介でした。このために、ムスリム向けの情報誌や調査記録を発行し、広報として発行した『回教世界』などの機関誌がありました。しかし、1941年には外務省からの支援が減額され、協会の活動は厳しい状況に置かれました。

教育と調査

協会は、ムスリム向けの学校や留学生の派遣によって、イスラームと日本文化の相互理解を深めようとしていました。また、調査機関が設置され、回教徒の状況に関する研究が行われるなど、文化的な側面にも力を入れました。

イベントとイベントの開催

1939年から1940年にかけて、回教圏展覧会を開催し、国際的な交流の場を提供しました。このイベントには多数の参加者があり、ムスリム文化を紹介する重要な場となりました。この他にも、映画制作や書籍の出版を通じて広報活動を展開しました。

解散とその後

1945年に日本が敗戦を迎えると、回教協会は解散を余儀なくされました。解散後、協会の専務理事だった大村謙太郎は「日本イスラーム協会」を設立し、その後の活動に引き継がれました。このような一連の動きは、当時の日本における宗教や文化の位置づけを改めて反映していると言えるでしょう。

結論

大日本回教協会は、日本におけるイスラームの理解と普及に寄与した重要な組織でした。時代背景により活動は様々な制約を受けましたが、それでもこの機関が果たした役割は、現在の日本とイスラームの関係を考える上で忘れてはならないものです。

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