大日本帝国憲法第56条

大日本帝国憲法第56条

大日本帝国憲法第56条（だいにほんていこくけんぽう だいごじゅうろくじょう、あるいは だいにっぽんていこくけんぽう だいごじゅうろくじょう）は、かつて日本に施行されていた大日本帝国憲法の第4章に収められた条文です。

条文の概要と内容

この条文は、枢密院に属する枢密顧問（すうみつこもん）の職務について定められたものです。条文が示す枢密顧問の主な役割は、以下の二点に集約されます。

1. 天皇の諮問に応ずること: 天皇陛下が国家の重要な事柄について判断を下されるにあたり、枢密院に対して意見や助言を求められることがあります。この「諮問」に対し、枢密顧問は熟慮の上、答申を行う義務を負っていました。
2. 重要な国務を審議すること: 国家の運営に関わる事柄の中でも特に重要度が高い案件について、枢密院において深く議論し、検討を行うことです。具体的には、憲法改正案、法律案、条約の締結、あるいは重要な勅令の発布など、広範かつ国家の根幹に関わる事柄が審議の対象となりました。

これらの職務の詳細は、「枢密院官制の定めるところにより」行われると規定されており、枢密院という機関の組織や運営、そして枢密顧問の具体的な権限や手続きは、別途制定された官制によって詳細に規定されていました。

枢密院の性格と位置づけ

第56条は、枢密院が天皇直属の諮問機関としての性格を持つことを明確に示しています。大日本帝国憲法下の国家構造において、枢密院は政府（内閣）とは異なる独立した機関でありながら、天皇の最高意思決定を補佐するという極めて重要な役割を担っていました。

憲法第4章は「国務大臣及枢密顧問」という表題が付けられており、国務大臣（内閣の構成員）に関する規定と並んで枢密顧問に関する規定が置かれています。これは、当時の統治機構において、国務を執行する政府の機能とは別に、天皇への諮問や重要国務の審議を担う枢密院が、国家運営上不可欠な存在として位置づけられていたことを物語っています。第56条は、まさにこの枢密院の核となる機能を定めた条文として、大日本帝国憲法体制の一端を理解する上で重要な意味を持ちます。

枢密院が行う審議は、法律案や条約の承認、憲法改正案の審議など、国家の命運を左右する重要な事柄に関わることが多く、その答申や決定は、しばしば国家の進路に大きな影響を与えました。第56条に示された諮問・審議という機能は、単なる形式的なものではなく、当時の政治過程において実質的な重みを持っていたのです。

このように、大日本帝国憲法第56条は、枢密院という機関の存在とその役割、特に天皇への諮問と重要国務の審議という二つの柱を明確に定め、当時の日本の国家体制における枢密院の地位と機能を示す根幹的な規定でした。

関連項目

枢密院
大日本帝国憲法

(注: 上記の関連項目は例示であり、実際のリンクは存在しません。)

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