大柏川

大柏川（おおかしわがわ）

大柏川は、千葉県鎌ケ谷市道野辺本町を水源とし、市川市を流れる利根川水系の一級河川です。全長約10kmで、流域には住宅地、果樹園、調節池などが点在しています。

地理

大柏川は、鎌ケ谷市の道野辺第1貯留池を源流とし、南西方向に流れます。途中、二和川と合流し、さらに根郷川を合わせると、市川市に入ります。市川市に入ると河川幅が広がり、派川大柏川を分けた後、本流は真間川に合流します。

一般的に、二和川合流地点より上流は「中沢川」と呼ばれ、そこから河口までが「大柏川」として一級河川に指定されています。中沢川区間は準用河川です。

上流部は東武野田線沿線で宅地開発が進み、大規模団地が点在します。中流部になると、梨畑が広がる風景が見られます。下流部では、住宅地や団地の脇を流れ、大柏川第一調節池緑地のような、自然が整備された場所もあります。かつては3.4kmにわたって桜並木が続いていましたが、現在は約2.7kmに190本ほどが植えられています。

また、市川市北部には湧水が豊富で、大町公園では希少な生物が生息しています。この湧水は、大柏川水路を通って大柏川に流入しており、豊かな水辺環境を形成しています。

治水

大柏川は、流域の状況に合わせて様々な治水対策が行われています。1965年に一部区間が一級河川に指定され、その後、1995年に指定区間が拡大されました。それ以前は、市川市内の区間が準用河川として扱われていました。

二和川・中沢川の整備

源流部は開発が進み、洪水が起こりやすい状況です。二和川周辺では、排水能力不足による浸水被害が発生しており、排水管の整備が進められています。また、貯留池の整備も行われていますが、費用対効果の観点から、更なる対策が検討されています。道野辺周辺には複数の貯留池が整備されており、二和川バイパスも建設されましたが、大柏川本流の整備が完了するまでは、効果が限定的です。

中上流部の整備

市川市と鎌ケ谷市の境界から根郷川合流地点までの区間では、国庫補助事業として河川整備が行われました。また、白旗橋までの区間は、千葉県主導で整備が進められています。下流部の負担を軽減するため、大柏川第2調節池の建設も進められています。

市川市内では、一級河川指定を機に、多自然型河川改修や橋の架け替えが進められています。

下流部の整備

北方町では、大柏川第1調節池が整備され、洪水調節機能を持っています。調節池の一部は緑地として整備され、市民に開放されています。また、河川改修は真間川と同時に行われ、浜道橋より下流は完了しています。

派川大柏川

派川大柏川は、全区間が一級河川に指定されています。かつては大柏川の洪水を分散する役割を担っていましたが、現在は自己流域のみを受け持っています。河川改修は未着手で、暫定的な治水対策として東菅野暫定調整池が設置されています。河川幅が狭く、両岸には民家が密集しており、河川整備が課題となっています。

水質

大柏川の水質汚濁は長年の課題です。流域からの生活雑排水が、流入先の真間川の水質にも影響を与えています。そのため、大柏川浄化施設が建設され、水質改善に取り組んでいます。派川大柏川にも浄化施設が設置されています。

支流

大柏川には、以下の支流があります。

二和川
法田川
二和川バイパス
根郷川（谷地川）
大柏川水路
派川大柏川（分流）

主な橋

上流から下流にかけて、以下の橋が架かっています。

白旗橋
新橋
南山下橋
引地橋
新川橋
天神前橋
宿之下橋
杉之木下橋
浜道橋
武蔵野線橋梁
倉沢橋
南小里橋
山之下橋
北割橋
貝之花橋
大柏橋
大割橋
川端橋
奥谷原橋
六割橋
小割橋
堀下橋
天神橋
本北方橋
桜見橋
木株橋
上浅間橋
浅間橋
美里橋（派川大柏川）
人道橋（派川大柏川）

参考資料

真間川改修事務所（千葉県）
大柏川水系の治水と景観に関する住民の意識調査（1993年、千葉工業大学）
船橋市議会会議録
鎌ヶ谷市議会会議録
市川市議会会議録

外部リンク

大柏川第一調節池緑地（市川市）


大柏川は、地域の生活と密接に関わる重要な河川であり、その保全と活用が求められています。

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