大正×対称アリス

『大正×対称アリス』は、Primulaが開発し2015年にWindows向けに発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームです。プロトタイプの手により、本編をまとめて収録した『大正×対称アリス all in one』として、2016年 6月2日にはPlayStation Vita版が、2019年 4月18日にはNintendo Switch版が供給されました。さらに、ファンディスクである『大正×対称アリス HEADS & TAILS』も制作され、Windows版が2017年 4月21日に、PlayStation Vita版が同年12月7日に、Nintendo Switch版が2020年 10月29日にそれぞれリリースされています。

作品の特色

本作は、性別が逆転した童話の世界を舞台に、記憶を失ったヒロインが世界の異変を正しながら、理想の結末を目指すアドベンチャーゲームです。「対称」を重要な主題としており、特に『鏡の国のアリス』から着想を得ています。物語は導入部分から始まり、次に攻略対象たちが集う「鏡の国」へと進みます。そこから各キャラクターの章へと分岐し、個別のストーリーが展開される進行形式をとっています。

あらすじ

ある時、見知らぬ暗闇の中で目を覚ました一人の少女。自身の名前すら思い出せない状況で立ち尽くしていた彼女に、「アリス」と名乗る少年が「ありす」と呼びかけます。二人が偶然見つけた鏡を覗き込むと、そのまま鏡の裏側の世界へと迷い込んでしまいます。その鏡の向こう側には、本来とは性別が逆になったおとぎ話の登場人物たちがおり、彼らは主人公を受け入れてくれます。

世界観と物語の構造

この作品の大きな特徴として、攻略するキャラクターごとに主人公と周囲の人物との人間関係が変化する点が挙げられます。それぞれの章が独立した世界観を持ち、主人公と攻略対象の間に独自の背景が設定されています。章のメインとなるキャラクターは太字で示されます。

赤ずきん編: 赤ずきんは主人公を護る刑事、オオカミは友人、猟師は学校の先生といった関係。アリスの立ち位置は不明。
シンデレラ編: シンデレラは親が決めた婚約者。かぐやは使用人、グレーテルと白雪はシンデレラの弟たち。アリスはシンデレラ経営の喫茶店の居候。
かぐや編: かぐやは主人公に一目惚れする相手。シンデレラは喫茶店の経営者、白雪はシンデレラの弟。アリスは主人公の隣室の住人。魔法使いは傍観者。
グレーテル編: グレーテルは主人公の弟。赤ずきんはグレーテルを心配し、オオカミは主人公の同級生で先輩、かつグレーテルに想いを寄せる。猟師は主人公の兄。アリスと魔法使いの立ち位置は不明。
白雪編: 白雪は主人公に関心を寄せる。赤ずきんは白雪を苦手視。シンデレラとかぐやは主人公の兄たち、グレーテルは主人公の弟。アリスは不明、魔法使いは傍観者。
魔法使い編: 魔法使いは依頼を受けて婚約者たち（赤ずきん、シンデレラ、かぐや、白雪）を調査する立場。グレーテルは義弟であり婚約者、猟師は兄妹。アリスは傍観者。
アリス編: アリスは主人公を助けた人物。赤ずきん、シンデレラ、かぐや、グレーテル、白雪は主人公の恋人候補とされる。猟師は兄、オオカミは友人。

主要な登場人物

個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

有栖百合花: 物語の主人公。記憶を失っており、プレイヤーは彼女として物語を進めます。『鏡の国のアリス』のアリスがモデルとされており、当初の青基調のデザインから白基調へ変更された経緯があります。
シンデレラ: プライドが高く潔癖な青年。
赤ずきん: 主人公を護衛する立場の刑事。
かぐや: 優雅でどこか浮世離れした雰囲気を持つ青年。
グレーテル: 主人公の弟として登場することが多く、お菓子作りが得意。
白雪: 美しい外見を持つが、病弱な面も。読書を好む。
魔法使い: 神出鬼没で掴みどころのない謎めいた存在。黒猫を連れています。
アリス: 主人公が出会う、リボンをつけた少年。無気力で毒舌家ですが、主人公と対になる存在として描かれます。
オオカミ: 快活でナンパ好きな青年。
猟師: 年長者で、落ち着いた雰囲気を持つ青年。

主題歌と関連商品

作品の世界観を表現する楽曲や、関連グッズも多数展開されています。

主題歌

『大正×対称アリス』/『大正×対称アリス all in one』
オープニング: "some song i forgot" シリーズ (歌唱: 綾野えいり) - エピソードごとに異なるバージョンが存在。
エンディング: "with all of my heart" (歌唱: Jenya)
『大正×対称アリス HEADS & TAILS』
オープニング: "鏡の国のシンフォニー" (歌唱: 綾野えいり)