大正遺跡

大正遺跡群：北海道における縄文文化の黎明

大正遺跡群は、北海道帯広市大正町に位置する、縄文時代草創期を中心とした遺跡群です。帯広市街から南へ約15km、市東部を流れる途別川の左岸、標高97mの段丘縁に点在する大正1〜8遺跡を総称してこう呼ばれます。

発掘調査の概要

2002年から2004年にかけて、道路工事に伴い大々的な発掘調査が実施されました。特に2003年に行われた大正3遺跡の調査では、北海道において最古となる、約1万4000年前の土器が発見され、大きな注目を集めました。これらの出土品は、帯広百年記念館に収蔵・公開されており、縄文時代の歴史を今に伝えています。

大正3遺跡：北海道最古の土器

2003年秋の発掘調査で、大正3遺跡の北側から、口縁部に隆帯が巡らされ、その下に爪形文や刺突文、ヘラ状の押引き文といった特異な文様が施された、尖底土器の破片が数百点も出土しました。さらに、木葉形の小型槍先や半月形石器、彫刻刀形石器など、5000点以上の石器も発見されています。これらの遺物は、これまで北海道内で発見されたことのない、縄文時代草創期の貴重なものであり、北海道における土器文化の始まりを示すものとして重要な意味を持ちます。

土器に付着した炭化物分析

発掘研究チームが土器に付着した炭化物を分析した結果、海産物の成分が検出されました。炭素年代測定の結果、これらの土器は1万4000〜1万4500年前のものであると判明し、煮炊きに使われた土器としては世界最古級であることが明らかになりました。検出された海産物の成分から、当時川を遡上してきたサケやマス類が利用されていた可能性が高いと考えられています。

大正遺跡群は、北海道における縄文文化の起源を探る上で、非常に重要な遺跡です。出土品を通して、1万年以上前の人々の生活や文化、自然との関わりについて知ることができます。帯広百年記念館を訪れれば、これらの貴重な遺物を間近に見ることができ、いにしえの時代に思いを馳せることができるでしょう。

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