大洞院 (中津川市)

大洞院

大洞院は、岐阜県中津川市蛭川にある曹洞宗の寺院です。山号を天佑山と称し、本尊には釈迦牟尼如来を祀っています。恵那三十三観音霊場の第三十一番札所としても知られ、札所本尊は楊柳観音菩薩です。境内には、本堂の傍らに天佑稲荷尊天を祀る社があります。

歴史

大洞院の創建は、昭和33年（1958年）に遡ります。恵那市の高安寺の僧侶であった各務英哉が、恵那峡を一望できる蛭川村の若山の山腹に寺院建立を志したことが始まりです。各務英哉は、昭和29年（1954年）に愛知県の乾坤院での修行中に病で失明しましたが、高安寺に戻り修行を続けました。昭和33年6月21日、大洞の稲荷を参拝した帰りに白狐に遭遇し、「人々のために霊場を開き祈祷三昧せよ」との霊感を受けました。同年10月、小さな堂を建て、天佑稲荷尊天を祀り、三つの願をかけました。一つは天佑稲荷尊天を祀る大霊場を開くこと、二つ目は三個の梵鐘を鋳造すること、そして三つ目は本堂を建立することでした。

昭和38年（1963年）、各務英哉は「木曽川北岸の紅岩のあたりに大霊場を開け」というお告げを受け、無人地帯であった現在地に天佑稲荷尊天根本霊場を開創しました。その後、梵鐘の願いも叶い、昭和55年（1980年）には悲願であった本堂が建立され、高安寺八世で先師の天外祖英(木村祖英)を開山として、天佑山大洞院が開創されました。

境内

大洞院の境内には、天佑稲荷尊天根本霊場のほか、鐘楼、楊柳観音菩薩を祀る堂、月光菩薩像、そして大洞岩という霊石があります。毎月満月の夜には「満月まいり」が行われ、三界万霊、祖先、水子の供養が行われています。この満月まいりでは、願掛けをすると願いが叶うとされ、多くの人々が訪れます。また、8月第一日曜日には、護摩木を焚く「恵那の火祭り」が天洞岩にて行われます。

参考文献

• - 『恵那市史 通史編 第3巻 2 (近・現代 2 生活・民族・信仰)』　第十二章　信仰・宗教　第五節　仏教　天佑山大洞院　p827～p829　恵那市史編纂委員会　1991年
• - 『観音の道 恵那三十三観音霊場』

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