大熊孝

大熊 孝について

大熊 孝（おおくま たかし）は1942年に台湾で生まれ、その後日本に引き揚げて千葉で育ちました。河川工学の専門家として新潟大学の名誉教授を務め、主に自然と人との関係を探求し、地域住民の視点を尊重した研究を行っています。大熊氏は独自の立場から社会に対する発言を行い、土木工学の分野での住民運動にも積極的に関与することで、その名を馳せています。

専門分野と研究内容

大熊氏の研究分野は主に河川工学や河川土木史であり、特に自然災害に対する人間の対応や水害防止策に焦点をあてています。彼は地域の環境問題として河川に対する様々な課題やダム建設の影響などを研究し、持続可能な水の利用と環境保護を提唱しています。
特に、近年では八ッ場ダムに反対する「八ッ場あしたの会」の代表世話人として活動しており、建設が地域や自然に与える影響について警鐘を鳴らしています。また、「水の駅・ビュー福島潟」の名誉館長としても地域の水環境に関連する活動を行っています。

学歴と職歴

彼は1967年東京大学工学部土木工学科を卒業後、大学院で河川工学を専門とする高橋裕に学びました。在学中に博士課程に進み、1974年には「利根川における治水の変遷と水害に関する実証的調査研究」で工学博士号を取得しました。その後、新潟大学で助手から教授までの職務を経て、2008年に定年退職し名誉教授となりました。
また、2014年から2019年まで新潟市潟環境研究所所長も務めていました。

社会貢献と活動

大熊氏は川の問題に対する住民の視点を大切にし、様々な社会的活動を展開しています。例えば、彼は昭和42年の加治川水害に関する訴訟で住民側に協力し、その後も多くの住民運動に関与しました。特に、河川に関連する法的な問題に対して、住民の権利を擁護するための鑑定人としても活動しています。
彼の活動は、地域との関わりを重視し、土木技術の進歩がどのように地域社会や環境に影響を与えるかを考察し続けています。

受賞歴と著作

大熊氏は、2008年に新潟日報文化賞、2020年には毎日出版文化賞を受賞するなど、その功績が広く認められています。著作も数多く、特に「洪水と水害をとらえなおす 自然観の転換と川の共生」は多くの読者に影響を与えました。
また、彼は多くの学術論文や著書を通じて、河川工学における重要な視点を広めてきました。

人物像

大熊氏は高校時代にサッカーに打ち込んでおり、大学でもその情熱を持ち続けました。大学院在学中に結婚し、家庭と研究を両立させてきました。彼の専門的な研究は、学位取得後も住民運動や社会のニーズに応える形で発展し、地域に根差した研究者としての道を歩んできました。
彼の研究のスタンスは、単なる理論的な探求に留まらず、実際的な問題解決を目指しており、関わるすべての人々に影響を与える存在であり続けています。

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