大相撲昭和2年10月場所

1927年（昭和2年）10月1日から10月11日までの11日間、大相撲の秋場所が京都府八坂新道にて開催されました。この場所は、前年末に東京相撲と大阪相撲が統合され、大相撲として一本化された後の過渡期に行われたものです。

東西の相撲が統合されたものの、旧東京方と旧大阪方の間には依然として不和が残っていました。そのため、本場所の成績集計や番付編成は、東西で別々に行われるという特殊な状況でした。通常、本場所の番付編成は直前の場所の成績を基に行われますが、この10月場所では、直前の5月場所（東京開催）ではなく、さらにその前の3月場所（大阪開催）の成績が用いられました。これは、東西の対立が番付編成にまで影響していたことを示しています。

幕内力士の取組では、横綱常ノ花が圧倒的な強さを見せました。優勝争いは、10日目に常ノ花を破った能代潟が同点で並び、二人の間で優勝が争われる展開となりました。しかし、当時の番付上位者優勝制度により、番付が上位の常ノ花が優勝となりました。この制度は、同成績の力士が出た場合、番付上位の力士を優勝とするもので、この場所の結果にも大きな影響を与えました。

この場所は、相撲界が東西統合という大きな変化を経験する中で、さまざまな課題を抱えながらも、力士たちが熱戦を繰り広げた場所として、歴史に刻まれています。

参考文献として、高永武敏著『相撲昭和史 激動の軌跡』（恒文社、1982年）が挙げられます。この書籍は、昭和初期の相撲界の状況を詳しく知る上で貴重な資料となっています。

この10月場所は、東西相撲統合後の混乱期における一つの象徴的な場所であり、当時の相撲界が抱えていた課題や、力士たちの活躍を今に伝える重要な記録です。

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