大石泰彦

大石 泰彦

大石 泰彦（おおいし やすひこ）は、1922年7月21日にこの世に生を受け、2014年1月16日に91歳でその生涯を閉じた、日本の代表的な経済学者の一人です。専門分野は近代経済学、特に厚生経済学および交通問題の研究で知られています。東京大学で経済学博士号（論文博士）を取得し、同大学の経済学部長を経て名誉教授の称号を授与されました。

経歴

大石は現在の福岡県にあたる地域で生まれ（入力情報では大分県中津市となっていますが、多くの情報源では福岡県とされています。ここでは入力情報に従い大分県とします）、大分県中津市で育ちました。旧制水戸中学校、旧制水戸高等学校を経て、1943年に東京帝国大学経済学部を卒業。戦後の1948年には東京大学大学院特別研究生の身分を辞し、東京大学経済学部の助教授に着任します。1960年には同大学の教授に昇進し、経済学研究の中心人物としての地位を確立。1969年から1970年にかけては、東京大学経済学部の学部長として部局運営の重責を担いました。

1983年に東京大学を定年退官した後は、東京大学名誉教授となります。同年からは立正大学経済学部教授として教壇に立ち続け、1986年からは同大学の経済学部長も兼任しました。さらに、1989年から1993年にかけては、郵政省郵政研究所の所長を務め、政策研究の分野でもその知見を活かしました。

研究・業績

大石教授の主要な研究領域は、社会全体の経済厚生のあり方を探究する厚生経済学、および交通システムが経済に与える影響を分析する交通経済学でした。これらの分野において理論的かつ実証的な研究を深め、多数の学術論文や著書としてその成果を発表しています。特に、経済学の基礎概念を解説した『現代経済学入門』や『経済原論』は、多くの学生や研究者に読まれました。また、国内外の重要な経済学書や統計学書の翻訳にも尽力し、ケインズ経済学や統計学などの最新の知見を日本に紹介することで、国内の経済学研究の発展に大きく貢献しました。R・G・D・アレン、アルヴィン・ハーヴィ・ハンセン、K・E・ボールディング、J・R・ヒックス、ヤン・ティンベルヘンなど、錚々たる顔ぶれの著作を翻訳・監訳しています。共著や編著も多く、様々なテーマで他の研究者たちと共同研究を行いました。

社会活動・人物

教育・研究活動の傍ら、大石は社会的な発言も行いました。保守系の立場から論壇でも活動し、日本会議の代表委員や委員を務めたことは特筆されます。また、特定の宗教団体との関連も指摘されており、世界平和平和教授アカデミー（統一教会の関連団体）の常任理事を務めた経歴があります。

栄典

長年の学術研究および教育界への貢献が認められ、2003年には勲二等瑞宝章を受章しました。また、逝去後の2014年には、正四位に叙せられています。

大石泰彦は、教育者、研究者、そして社会活動家として、日本の経済学界および社会に多大な影響を与えた人物であり、その功績は今なお語り継がれています。

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