大籬

大籬（おおまがき）

大籬とは、江戸時代の吉原において、最も格式の高い遊女屋を指す言葉です。寛政年間以降、吉原では妓楼の格式を、見世先の構造によって示す規定が設けられました。この規定の中で、大籬は最上位に位置づけられ、その構造は他の妓楼とは一線を画していました。

大籬の構造

大籬の最大の特徴は、その名の通り、籬（まがき）の高さにあります。籬の高さが天井に達するものを大籬、または総籬と呼びました。これに対し、籬の高さがその半分または4分の3程度のものは半籬、または交り見世と呼ばれ、さらに低い2尺程度に制限されたものは小見世と区別されました。

大籬は、間口が13間（約23.6メートル）と定められており、そのうち4間を見世（客に見せるための場所）として使用しました。残りの5、6間は格子で仕切られ、入り口は9尺（約2.7メートル）から2間（約3.6メートル）と定められていました。奥行きは22間（約40メートル）に制限されており、これは他の等級の妓楼と比較して、非常に広い空間でした。

これに対して、大籬よりも下位の等級の妓楼では、間口を10間（約18メートル）を超えることは許されていませんでした。この規定からも、大籬が他の妓楼と比べて特別な存在であったことが伺えます。

大籬の意味合い

大籬は、単に建物の構造を示すだけでなく、吉原における格式や地位を象徴するものでした。大籬を構えることができるのは、経済力があり、吉原において高い地位を持つ遊女屋に限られていました。そのため、大籬は、吉原の繁栄を支える重要な要素の一つであり、同時に、遊女文化における権威の象徴でもありました。

大籬の存在は、吉原の遊郭文化を理解する上で、欠かせない要素です。その独特な構造や格式は、当時の社会における階級や権力構造を反映しており、歴史的な観点からも非常に興味深いものです。

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