大聖堂-果てしなき世界

大聖堂-果てしなき世界（World Without End）

ケン・フォレットによる歴史小説『大聖堂』（The Pillars of the Earth）の続編。
前作から約150年後の14世紀前半、キングズブリッジを中心とした物語が展開されます。

あらすじ

物語は、前作の登場人物の子孫たちが織りなす群像劇です。
王位継承問題、英仏百年戦争の始まり、そしてヨーロッパを襲ったペストの大流行といった史実を背景に、架空の人物たちの運命が交錯します。

主要な登場人物とその運命

マーティン: 貧しい騎士の息子でしたが、建築家としての才能を開花させます。しかし、恋人との別れやペストの流行など、数々の困難に直面します。フィレンツェでの成功と挫折を経てキングズブリッジに戻り、大聖堂の再建に情熱を注ぎます。
ラルフ: マーティンの弟で、体格に恵まれた騎士見習い。粗暴な性格で数々の問題を起こしますが、戦功を挙げて騎士の称号を得ます。シャーリング伯爵位を狙い、策略を巡らせますが、最後は悲劇的な結末を迎えます。
カリス: 羊毛商人の娘で、自立した女性。恋人マーティンとの愛を貫きながら、町の発展に尽力します。魔女として告発されるなど苦難を経験しますが、修道院長として、また一人の女性として、困難に立ち向かいます。
ゴドウィン: 修道士であり、カリスの従兄弟。野心家で、修道院長としての地位を確立するために手段を選びません。しかし、ペストの流行によってその野望は打ち砕かれます。
グウェンダ: 貧しい家の娘で、過酷な運命に翻弄されます。愛する人を守るために体を売ることもありましたが、強く生き抜きます。

物語のテーマ

建築と創造: 大聖堂の建設は、人々の希望と創造性の象徴です。マーティンをはじめとする建築家たちは、技術と情熱を注ぎ込み、壮大な建造物を築き上げます。
疫病と死: ペストの流行は、人々に絶望と恐怖をもたらします。しかし、カリスのように、科学的な知識と献身的な努力によって疫病に立ち向かう人々も存在します。
権力と策略: 王位継承や教会の権力争いは、人々の欲望と策略を浮き彫りにします。ゴドウィンやラルフのように、権力を手に入れるために手段を選ばない者もいれば、カリスのように、正義のために権力と戦う者もいます。
* 愛と犠牲: マーティンとカリスの愛は、様々な困難に直面しながらも、最終的には結ばれます。グウェンダのように、愛する人を守るために自己犠牲を払う人々もいます。

前作との関連

本作は前作『大聖堂』の続編であり、前作の登場人物の子孫が登場します。
前作を読んでいると、2世紀が経過したキングズブリッジを前作と対比することができ、物語をより深く理解することができます。

史実との融合

物語は、王位継承、百年戦争、ペストといった史実を背景に展開されます。
史実と架空の物語が巧みに融合し、読者は中世ヨーロッパの歴史と文化をより身近に感じることができます。

『大聖堂-果てしなき世界』は、壮大なスケールで描かれる歴史小説であり、人々の希望と絶望、愛と裏切りが交錯する物語です。
建築、疫病、権力闘争といったテーマを通じて、人間の普遍的な姿を描き出しています。

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