大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋（だいたいきんまくちょうきょうきん）

大腿筋膜張筋（tensor fasciae latae muscle）は、人間の腸骨に位置する筋肉であり、主に股関節の屈曲と膝関節の伸展という二つの重要な役割を担っています。この筋肉は、歩行や走行といった日常的な動作から、スポーツにおける複雑な動きまで、幅広い活動を支える基盤となっています。

起始と停止

大腿筋膜張筋は、上前腸骨棘（じょうぜんちょうこつきょく）と呼ばれる骨盤の前端部分から起始します。この部分は触診によって容易に確認でき、大腿筋膜張筋の位置を特定する際のランドマークとなります。起始した筋肉は、大腿部の外側を下行し、大転子の下方で腸脛靭帯（ちょうけいじんたい）に合流し、最終的には脛骨外側顆（けいこつがいそくか）に付着します。腸脛靭帯は、大腿部の外側を縦走する強靭な線維性の帯であり、大腿筋膜張筋の力を膝関節へと伝える役割を果たします。

機能

大腿筋膜張筋の主要な機能は、以下の通りです。

股関節の屈曲: 大腿筋膜張筋は、股関節を屈曲させる作用があります。これは、脚を前方に持ち上げる動作であり、歩行や階段を上る際に重要な役割を果たします。
膝関節の伸展: 大腿筋膜張筋は、膝関節を伸展させる作用があります。これは、膝を伸ばす動作であり、立位姿勢の維持や走行時に推進力を生み出すために不可欠です。

これらの機能に加え、大腿筋膜張筋は股関節の外転や内旋にもわずかに関与します。また、腸脛靭帯を介して膝関節の安定性にも寄与しています。

臨床的意義

大腿筋膜張筋は、過度な使用や不適切な姿勢によって炎症を起こしやすい筋肉です。大腿筋膜張筋の炎症は、腸脛靭帯炎（ちょうけいじんたいえん）と呼ばれる膝の痛みを引き起こす原因となることがあります。腸脛靭帯炎は、ランナーやサイクリストなどのスポーツ選手に多く見られる疾患であり、適切なストレッチや筋力トレーニングによって予防・改善することが可能です。

関連項目

* 人間の筋肉の一覧 (架空のリンクです)

大腿筋膜張筋は、人体の運動機能において重要な役割を果たす筋肉です。その機能や構造を理解することで、より効果的なトレーニングやリハビリテーションが可能になります。

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