大西譲治

愛媛県出身の元プロ野球選手、大西 譲治（おおにし じょうじ）氏は、1949年2月20日に生まれ、右投げ右打ちの投手としてプロの世界に足を踏み入れました。彼の野球キャリアは、地元愛媛の高校時代から始まります。

高校時代とドラフト指名

愛媛県立松山北高等学校で野球に打ち込んだ大西投手は、その素質を見出され、高校三年生だった1966年のプロ野球第一次ドラフト会議において、中日ドラゴンズから6位指名を受けました。当時のドラフト制度は現在とは異なり、指名選手との交渉には複雑な側面がありましたが、大西投手は指名を受けたものの、最終的に都合によりこの指名を辞退する決断を下しました。このため、高校卒業時点でのプロ入りは実現しませんでした。

社会人野球を経てプロへ

高校を卒業した大西氏は、野球を続ける道を選び、社会人野球の強豪である河合楽器に入団しました。しかし、ここでは投手としての登板機会は多くなかったとされています。社会人野球での短い期間を経て、プロ野球への夢を再び追い求めます。そして、1967年には、前年に指名を受けた中日ドラゴンズと再び縁が結ばれ、今度はドラフト外という形で入団することになりました。

プロでの期待と課題

ドラフト外入団ではあったものの、大西投手のピッチングには当時から光るものがありました。特に、その投球フォームや風格が、戦前・戦後を通じて活躍した伝説的な大投手、スタルヒンに似ているとして、オープン戦などで話題になったことは彼のキャリアにおける特筆すべきエピソードです。これは、彼の本格派としてのポテンシャルの高さを物語っています。上手投げから繰り出されるストレートは威力があり、カーブやフォークボールといった変化球も持ち合わせていました。

しかし、プロの世界で実績を残すためには、球威だけでなく、それを生かす制球力が必要不可欠です。大西投手にとって、この制球難がプロとして活躍する上で致命的な課題となりました。どんなに速い球を投げられても、それがストライクゾーンに安定して投げ込めなければ、打者を抑えることは困難です。彼のプロ野球でのキャリアは、この制球力不足に苦しむ日々でした。

短いプロ生活と引退

中日ドラゴンズには1967年に入団しましたが、背番号の記録によると1968年から71番を着用し、1969年からは38番に変更しています。期待されながらも、制球難を克服することができず、彼はついにプロ野球の一軍公式戦のマウンドに立つことはできませんでした。入団からわずか数年後の1970年、大西譲治投手は一軍での登板機会がないまま、若くして現役を引退することを決断しました。

彼のプロ野球選手としての期間は短く、目立った成績を残すことはできませんでしたが、高校時代のドラフト指名、社会人野球を経てのドラフト外入団、そしてオープン戦でのスタルヒン似として話題になったことなど、そのキャリアにはいくつかのドラマがありました。父親がアメリカ人であったという背景も持つ彼は、本格派右腕としてプロの世界に挑戦した愛媛県出身の選手の一人として、短いながらもその名をプロ野球史に刻んでいます。現在、彼は愛媛県出身の人物や中日ドラゴンズの元選手として、その足跡が語られることがあります。彼の野球人生は、才能とプロの厳しさ、そして制球という技術の重要性を改めて示す一例と言えるでしょう。

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