大谷實

大谷 實（おおや みのる）

概要

大谷實は1934年に茨城県で生まれ、刑事法を専門とする日本の法学者です。同志社大学で長い間教育に携わり、法学部教授および大学の総長も務めました。その業績は法学の発展に寄与し、さまざまな社会活動にも積極的に関わりました。

学歴

大谷は1953年に茨城県立下館第一高等学校を卒業後、1957年に同志社大学法学部法律学科を修了しました。その後、1960年に同志社大学大学院法学研究科政治学専攻の修士課程を終了しています。

職歴

大谷は1962年に同志社大学で嘱託講師として教育活動を開始し、1965年に専任講師、1967年に助教授に昇進しました。そして1973年に教授に就任し、その後は法学部長や大学院法学研究科長を歴任しました。1980年に大学長に就任しましたが、病のため半年で退任し、以降も大学院総合政策科学研究科長などを歴任しました。

学説

大谷は最初の頃、犯罪の本質を法益の侵害に求め、違法性に関しては結果無価値論を採用していました。しかし、医事刑法を研究する中で法益の侵害だけでは違法の実質を理解しきれないと考えるようになり、行為無価値論に転向しました。後には行為責任論を支持し、団藤重光の人格責任論を批判する立場に立っています。

さらに、彼は形式的犯罪論を支持しており、実質的犯罪論を主張する前田雅英から攻撃を受けました。その中で故意論に関する見解を修正し、共犯論において新たなアプローチを試みていることが特徴です。

社会的活動

大学に勤務する傍ら、大谷は日本での犯罪被害者支援活動にも力を入れています。彼は「被害者補償制度を促進する会」を設立し、後に「殺人犯罪の撲滅を推進する会」との合併を経て全国組織の設立に尽力しました。この取り組みが映像作品『衝動殺人　息子よ』に取り上げられたことで広く知られるようになりました。

その後も、犯罪被害者に対する相談や支援を行う社団法人京都犯罪被害者支援センターを設立し、理事長として活動しています。大谷はまた、法務省の司法試験考査委員や日本学術会議の会員としても活躍しました。

著書

大谷は多数の著書を執筆しています。代表的な作品としては『人格責任論の研究』や『医療行為と法』などがあり、刑法の諸問題に関する深い理解と独自の見解が反映されています。特に『刑法講義各論』は多くの読者に支持され、法学の教育の一環として広く使われています。

結論

大谷實は日本の法学界において重要な存在であり、特に刑事法の分野での貢献が評価されています。彼の学問的な業績と社会的活動は、今後の法の理解と被害者支援においても影響を与えることでしょう。

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